研究等業績 - 総説・解説 - 三島 和夫
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三島 和夫
Geriatric Medicine ( (株)ライフ・サイエンス ) 56 ( 1 ) 35 - 38 2018年01月
総説・解説(学術雑誌)
高齢不眠患者では加齢に伴う睡眠構造の変化、睡眠ニーズを減少(覚醒閾値を低下)させるライフスタイル、不眠の原因となる合併症の増加、うつ病や社会的孤立などメンタルヘルスの悪化などである。そのため高齢者の不眠症は、一般的に慢性経過をたどりやすい。また、不眠症状があることイコール不眠症ではない点にも留意する必要がある。正しい診断、誤った睡眠習慣の是正、その後に症状にマッチした薬物療法を行い、症状の改善に合わせて可能な限り減薬に努めるのが治療の基本である。薬物療法のリスクとベネフィットを患者自身が理解し享受する、アドヒアランスの高い不眠医療が求められている。(著者抄録)
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綾部 直子, 三島 和夫
心身医学 ( 一般社団法人 日本心身医学会 ) 58 ( 7 ) 622 - 627 2018年
総説・解説(学術雑誌) 国内共著
<p>GABA-A受容体作動薬 (GABA-A receptor agonists : GABAA-RA) によって不眠症が寛解しない薬物療法抵抗性の原発性不眠症患者を対象として, CBT-Iを補完することによる不眠症の改善効果およびGABAA-RAの漸減促進効果を多施設共同のランダム化比較試験を用いて検討した. 対象者は, CBT-I群, または通常治療である睡眠衛生指導のみのTAU群のいずれかに割り付けられた. 隔週計5回の介入のうちセッション4と5は両群とも漸減法を用いた睡眠薬の減薬指導とした. 解析の結果, CBT-I群はTAU群と比較して, 介入後, 1カ月後フォローアップで不眠重症度が有意な減少を示した. GABAA-RAの減薬率については, CBT-I群で介入前から1カ月後フォローアップにかけて約30%の減薬率を示したものの, TAU群と比較して有意な優越性は示されなかった. 本研究の結果から, CBT-Iの減薬促進効果については減薬プロトコルや減薬期間の最適化によるさらなる検証が望まれる.</p>
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Q and A―神経科学の素朴な疑問 時差ぼけは東回りと西回りで違うのですか?
三島和夫
Clinical Neuroscience 35 ( 12 ) 1478‐1479 2017年12月
総説・解説(学術雑誌)
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【光環境と睡眠・概日リズム】高齢者を取り巻く光環境と睡眠・生体リズム障害
三島 和夫
睡眠医療 ( (株)ライフ・サイエンス ) 11 ( 4 ) 489 - 493 2017年12月
総説・解説(学術雑誌)
全盲、極地圏、宇宙空間などの特殊条件下を除けば、ヒトは生物時計の最も強力な同調因子である生活環境光を十分に享受していると思いがちだが、高齢者、特に認知症高齢者に関する限りその認識は正しくない。外出機会の減少もしくは行動制限による自然光(高照度光)への曝露機会の減少、不適切な時間帯における光への過剰曝露、日照量や日長時間の季節変動などが原因となって、不眠症、概日リズム睡眠・覚醒障害、抑うつ状態などが生じることがある。光環境をうまく活用することは、高齢者や認知症高齢者の社会機能とQOLを高めるために有用である。(著者抄録)
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三島 和夫
Anti-aging Science ( (株)メディカルレビュー社 ) 9 ( 2 ) 80 - 80 2017年12月
総説・解説(学術雑誌)
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薬物依存症に対する最近のアプローチ 多剤併用に対する診療報酬の減算算定は向精神薬の処方動向にどのような影響を与えたか
三島和夫
精神科治療学 32 ( 11 ) 1477‐1482 2017年11月
総説・解説(学術雑誌)
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睡眠検診の在り方 1.ウェアラブルデバイスとオンライン診断システムを活用した睡眠障害スクリーニングシステムとその社会実装
三島和夫
睡眠医療 11 ( 3 ) 328‐334 2017年09月
総説・解説(学術雑誌)
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【睡眠障害診療29のエッセンス】診断基準 ICD-11では睡眠障害はどう扱われるのか?
三島 和夫, 本多 真
医学のあゆみ ( 医歯薬出版(株) ) 別冊 ( 睡眠障害診療29のエッセンス ) 7 - 14 2017年09月
総説・解説(学術雑誌)
ICD-10では睡眠障害が「精神及び行動の障害」の大分類(Fコード)と、「神経系の疾患」の大分類(Gコード)に分かれて診断される構造的な問題を抱えていたが、ICD-11では第7章「睡眠-覚醒障害」というあらたな章として独立させることになった。独立した章となったことで、診断分類の自由度が高まり、睡眠-覚醒障害のもっとも代表的な診断基準であり睡眠医療や睡眠医学研究に汎用されているアメリカ睡眠医学会による睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)との整合性も格段に高まった。今回の改訂によって睡眠-覚醒障害に関しては利便性の高い基本統計として疫学調査や医学研究に従来以上に幅広く使用されるようになるだろう。(著者抄録)
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【「社会的ジェットラグ」が健康に及ぼす影響】社会的ジェットラグの概念と病態メカニズム
三島 和夫
日本医事新報 ( (株)日本医事新報社 ) ( 4863 ) 26 - 33 2017年07月
総説・解説(学術雑誌)
<Point>▼生物時計の機能には個人差があり、睡眠習慣や生体リズムの差異として現れる▼社会的ジェットラグとは、社会時刻と個人の生物時計のミスマッチによって生じる症候群である▼社会的ジェットラグは睡眠、パフォーマンス、気分調節、自律神経、内分泌・代謝など多彩な心身機能に影響を及ぼす(著者抄録)
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小児の睡眠関連病態
福水 道郎, 亀井 雄一, 三島 和夫, 中川 栄二, Hayes Marie J
小児保健研究 ( (公社)日本小児保健協会 ) 76 ( 講演集 ) 99 - 99 2017年05月
総説・解説(学術雑誌)
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【不眠症の治療戦略】 不眠医療の課題、これからめざすべきこと
三島 和夫
クリニシアン ( エーザイ(株) ) 64 ( 4 ) 295 - 301 2017年04月
総説・解説(学術雑誌)
不眠症の臨床転帰を向上させるには単なる夜間症状の軽減に留まらず、社会機能とQOLの改善が必須である。現在わが国での不眠治療のファーストラインは薬物療法であるが、通常用量で寛解できない患者も少なからずおり、多剤併用、大量処方が社会問題化している。不眠症の診断と疫学、不眠症の本態は生活機能障害、不眠医療で今後検討すべき課題、診断技法と治療クリニカルパスについて述べた。
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【認知症と睡眠をめぐって】 高齢者の睡眠障害
三島 和夫
老年精神医学雑誌 ( (株)ワールドプランニング ) 28 ( 4 ) 335 - 340 2017年04月
総説・解説(学術雑誌)
高齢者の睡眠障害は臨床場面で最もよく遭遇する症候のひとつであり、慢性経過をたどるケースが多く、患者の社会機能や生活の質(QOL)を大きく低下させる。高齢者でみられる睡眠障害は多様である。最も頻度が高い訴えは不眠であるが、不眠症状があることイコール不眠症ではない。とくに高齢者の場合には睡眠薬が第一選択薬となる原発性不眠症は不眠患者の一部にすぎないことをたえず念頭におく必要がある。高齢者の睡眠障害の背景には睡眠の深度や持続性が減少するなど生理的な加齢変化に加えて、さまざまな心理・社会・生物学的要因が存在する。そのため睡眠薬などの催眠鎮静系の向精神薬による薬物療法だけでは症状が改善しないことも少なくない。環境調整や心理療法も含めた治療アプローチが必要である。また高齢者では向精神薬の副作用が出やすいため、薬物療法を行う際にはたえずrisk-benefit balanceを考慮する必要がある。睡眠衛生指導などの非薬物的アプローチを適宜取り入れる必要がある。(著者抄録)