研究等業績 - その他 - 佐竹 將宏
-
地域在住高齢者を対象とした8週間のダイナミックストレッチングプログラムが筋力,筋柔軟性,バランス,歩行能力に与える効果の検討
木元 裕介, 佐竹 將宏, 岩澤 里美, 菊地 和人, 鈴木 瞭平, 皆方 伸
理学療法学Supplement ( 公益社団法人 日本理学療法士協会 ) 2016 ( 0 ) 2017年
<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>本研究の目的はダイナミックストレッチング(DS)プログラムを8週間行った際の,筋力,筋柔軟性,バランス,歩行能力に対する効果を検討することである。近年,スポーツ分野ではDSが注目されており,DSを8週間行うことで,筋柔軟性だけでなくジャンプ力が向上することが報告されている(Turki 2014)。著者らは過去にDSの肢位や運動速度を高齢者にとって行いやすいよう工夫し,優れた急性効果を有することを報告した。今回,地域在住高齢者がDSを日常的に8週間行った際の効果を検討し,それを報告する。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象はA市高齢者サークルから自由意思で参加した地域在住高齢者10名(平均年齢79.3±4.9歳,女性10名)とした。先行研究を参考に,DSプログラムは下肢の筋群に対して関節運動速度と回数を,10回/分(1回6秒)のゆっくりとした速度で12回自動運動を行った。具体的には,椅子座位をとりながら,膝関節屈曲伸展全可動域を自動運動する方法と足関節底背屈全可動域を自動運動する方法,つかまり立位をとりながら,股関節屈曲伸展全可動域を自動運動する方法と股関節内転外転全可動域を自動運動する方法,および膝関節屈曲伸展全可動域を自動運動する方法,以上の5種を1日1回行うものとした。測定はプログラム開始直前,開始から4週後,8週後に行い,測定項目は膝伸展筋力,握力,超音波エラストグラフィによる腓腹筋筋硬度,Timed Up and Go Test(TUG),片脚立位時間,5m通常・最大歩行時間とした。膝伸展筋力はベルト固定可能なハンドヘルドダイナモメーター(ミュータスF-1;アニマ社製)を用い,筋硬度は超音波診断装置(AVIUS;日立アロメディカ社製)のストレイン・エラストグラフィモードを用いた。統計処理はSPSS21.0を用い反復測定分散分析およびBonferroni法によりプログラム開始前後に有意差があるか検討した。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>DSプログラムの8週間中1日1回の実施率は平均83.5±19.3%だった。膝伸展筋力はプログラム開始直前と比較し8週後で有意に増加した(p=0.02)。腓腹筋筋硬度は,プログラム開始直前と比較し4週後と8週後に有意に向上し(いずれもp<0.01),さらに4週後よりも8週後が有意に向上した(p=0.03)。TUGはプログラム開始直前と比較して8週後に有意に所要時間が減少した(p=0.02)。5m最大歩行時間はプログラム開始直前と比較し4週後および8週後に有意に所要時間が減少した(それぞれp=0.02,p=0.03)。握力,片脚立位時間,5m通常歩行時間においては統計的有意差がなかった。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>先行研究より膝伸展筋力は地域在住高齢者の生活範囲や転倒予防に,筋柔軟性は血管柔軟性などに関連があるとされている。8週間のDSプログラムを日常的に行うことは地域在住高齢者の健康増進に寄与する可能性が示唆された。</p>
-
中澤 明紀, 佐竹 將宏, 木元 裕介, 岩澤 里美, 皆方 伸, 上村 佐知子, 塩谷 隆信
理学療法学 ( 日本理学療法士学会 ) 44 ( 6 ) 415 - 425 2017年
<p>【目的】急性期脳卒中患者の基本的姿勢における呼吸・循環反応を測定し,各姿勢の代謝を把握すること,脳卒中急性期の代謝の特徴を理解することを目的とした。【方法】急性期脳卒中患者31 名を対象に呼気ガス分析装置を用い,臥位,ヘッドアップ,端座位,車いす座位,立位の5 つの基本的姿勢での呼吸代謝を測定し,さらに回復期脳卒中患者と比較した。【結果】臥位,ヘッドアップ,端座位,車いす座位の各姿勢での呼気ガス指標には有意な差を認めなかった。一方で立位は他の姿勢よりも有意に高く,2.00 METs であった。すべての姿勢で呼気ガス指標は回復期患者群よりも有意に高かった。%REE は約132%であった。【結論】臥位,ヘッドアップ,端座位,車いす座位における代謝の違いはほとんどなく負荷量も高くなかったが,立位保持練習は身体負荷が高い可能性があり全身状態に留意する必要がある。急性期の代謝亢進は組織修復等による可能性が示唆された。</p>
-
脳卒中片麻痺患者に処方された短下肢装具と患者自身が歩きやすいと考える短下肢装具についての検討
岩澤 里美, 佐竹 將宏, 河田 雄輝, 木元 裕介, 菊地 和人, 鈴木 瞭平
理学療法学Supplement ( 公益社団法人 日本理学療法士協会 ) 2016 ( 0 ) 2017年
<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>脳卒中片麻痺患者に処方される短下肢装具(AFO)には様々な種類があり,AFOを選択する際には,患者の意見を取り入れて決定することも多い。そこで本研究の目的は,脳卒中片麻痺患者に処方したAFOと患者が最も歩きやすいと回答したAFOがどの程度一致するかを調べ,AFOを選択する際に患者の意見がどの程度参考になるかを調査した。</p><p></p><p></p><p></p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象は,2014年6月から2015年10月までに当センターに入院した脳卒中片麻痺患者で入院中にAFOを処方された43名であった。性別は男性31名,女性12名,平均年齢は63±11歳,診断名は脳梗塞18名,脳出血23名,脳挫傷2名であった。</p><p></p><p>方法は,対象者に対して裸足と5種類のAFO(オルトップAFO<sup>Ⓡ</sup>,オルトップAFO<sup>Ⓡ</sup>-LH,オルトップAFO<sup>Ⓡ</sup>-LHプラス,靴べら型短下肢装具,底屈0°固定・背屈遊動に設定したTAPS)をランダムに装着し10m最大歩行を測定した。その際にどのAFOを使用した際に最も歩きやすかったかを聴取した。また得られた回答と処方したAFOが一致した群(一致群)と異なった群(不一致群)に分類し年齢と身体機能に違いがあるかを検討した。身体機能は感覚(触覚・位置覚),下肢Br.stage,体幹下肢運動年齢,FIM運動項目,FIM認知項目を測定した。統計解析にはSPSS ver.19を用い,対応のないt検定,Mann-WhitneyのU検定を行った。</p><p></p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>処方されたAFOと得られた回答が一致した者は24名(一致率60%),不一致だった者は19名であった。不一致群が最も歩きやすいと回答したAFOが,処方されたものより制動力が弱いAFOだった者は14名,制動力が強いAFOだった者は2名,どのAFOが良いか分からないと回答した者は3名であった。</p><p></p><p>年齢は一致群63±10歳,不一致群65±12歳,触覚は一致群7±3,不一致群6±3,位置覚は一致群8±3,不一致群8±4,下肢Br.stageは一致群で中央値IV,不一致群で中央値IV,体幹下肢運動年齢は一致群24.9±10.5ヵ月,不一致群29.7±14.3ヵ月,FIM運動項目は一致群66±15点,不一致群69±19点,FIM認知項目は一致群28±5点,不一致群32±17点であった。一致群と不一致群ではどの項目も有意な違いが認められなかったが,体幹下肢運動年齢は一致群に比べて不一致群で高い傾向にあった。</p><p></p><p></p><p></p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>処方されたAFOと対象者が最も歩きやすいと答えたAFOとの不一致率は40%と高く,多くの者は処方されたAFOよりも制動力が弱いAFOを選択していた。患者の意見には少しでも小さなAFOを使用したいという願望が含まれている可能性がある。したがってAFOを選択する際には患者と十分に話し合うことが必要であり,さらに適応するAFOを見極める専門家としての能力を十分に身に付けることが必要である。</p>
-
3軸加速度計の体幹加速度を用いたCOPD患者の歩行時のバランス能力評価
照井 佳乃, 岩倉 正浩, 川越 厚良, 大倉 和貴, 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 佐竹 將宏, 塩谷 隆信
日呼ケアリハ学誌 27 59 - 64 2017年