研究等業績 - その他 - 佐竹 將宏
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Uemura Sachiko Ito, Kanbayashi Takashi, Ito Wakako, Terui Yoshino, Satake Masahiro, Han Go Eun, Shioya Takanobu, Nishino Seiji
J Phys Ther Sci ( 理学療法科学学会 ) 35 ( 5 ) 330 - 339 2023年
<p> [Purpose] Herein, we aimed to investigate the effects of bathing in a sodium chloride spring and an artificially carbonated spring on core body temperature and electroencephalograms, to assess whether the springs facilitate sleep. [Participants and Methods] This randomized, controlled, crossover study evaluated the effects of a sodium chloride spring, an artificially carbonated spring, a plain hot bath, and no bath on sleep. The subjective evaluations and recording of temperature were performed before/after bathing at 40 °C for 15 min at 22:00 h, before nocturnal sleep (0:00–7:00 h), and after the participants (n=8) woke up in the morning. [Results] Bathing significantly increased the core body temperature, with significant subsequent declines observed until bedtime. Participants in the sodium chloride spring group had the highest average core body temperature, while participants in the no-bath group had the lowest average core body temperature before bedtime (23:00–0:00 h). During bedtime (1:00–2:00 h), the participants in the no bath group had the highest average core body temperature, while participants in the artificially carbonated spring group had the lowest average core body temperature. The amount of delta power/min in the first sleep cycle significantly increased in the bathing groups, with the highest value during bedtime being recorded in the artificially carbonated spring group, followed by the sodium chloride spring, plain hot bath, and no-bath groups. These sleep changes were associated with significant declines in the elevated core body temperature. Increased heat dissipation and decreased core body temperature were observed in the artificially carbonated spring and sodium chloride spring groups, which increased the delta power during the first sleep cycle compared with that observed in the plain hot bath group, followed by the no-bath group. [Conclusion] An artificially carbonated spring would be the most appropriate given each circumstance because it did not cause fatigue, as observed with the sodium chloride spring.</p>
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Uemura S.I.
Neuropsychopharmacology Reports ( Neuropsychopharmacology Reports ) 42 ( 3 ) 288 - 298 2022年09月
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Kikuchi K.
Medicine (United States) ( Medicine (United States) ) 101 ( 36 ) 2022年09月
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齋藤 真紀子, 佐竹 將宏
運動器理学療法学 ( 一般社団法人 日本運動器理学療法学会 ) 2 ( Supplement ) P-121 - P-121 2022年
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慢性閉塞性肺疾患患者における動的肺過膨張の新しい指標と身体活動との関係
古川 大, 岩倉 正浩, 川越 厚良, 大倉 和貴, 照井 佳乃, 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 佐竹 將宏, 塩谷 隆信
呼吸理学療法学 ( 一般社団法人 日本呼吸理学療法学会 ) 7th.Meeting ( 0 ) SJ-3 2021年
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Okura K.
Clinical Respiratory Journal ( Clinical Respiratory Journal ) 14 ( 6 ) 521 - 526 2020年06月
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塩谷 隆信, 照井 佳乃, 佐竹 將宏, 川越 厚良, 菅原 慶勇, 高橋 仁美
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 ( 一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 ) 29 ( 1 ) 62 - 68 2020年
<p>COPDの終末期には,呼吸困難,疲労感,咳嗽,身体疼痛など様々な症状をきたし,この終末期の症状の中では,呼吸困難が最もその頻度が高く辛い症状である.</p><p>COPDの終末期の呼吸困難の対策として,Rockerらの三段階の対処法がある.第一段階の呼吸困難に対しては,COPDガイドラインに基づいた最適な気管支拡張薬に運動療法,酸素療法の増加を図る.続いて,第二段階の呼吸困難に対しては,活動ペースに合わせた呼吸リハビリ,口すぼめ呼吸などを行う.第三段階の呼吸困難に対しては,緩和薬物療法として,モルヒネの容量調整と抗不安薬の併用を行うというものである.</p><p>呼吸リハビリは,多次元的医療サービスを多くの職域にわたる専門家チームの協力によって提供する医療介入システムであり,プログラムとしては,運動療法,呼吸筋トレーニング,栄養療法などを提供する.現在のところ,COPDの終末期の呼吸困難の対策としての確立した包括呼吸リハビリ・プログラムはないが,最近,我々が経験した重度COPD事例を対策の一助として紹介する.</p><p>終末期COPDにおける呼吸困難の対策として呼吸筋トレーニングを含んだ包括的呼吸リハビリが有用であると考えられるが,今後,多施設多数例における臨床研究によるエビデンスの構築が必要と考えられる.</p>
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吸気筋トレーニングによる運動耐容能の変化:―上肢・下肢エルゴメータの比較―
宮下 誉都, 加賀屋 勇気, 古川 大, 大倉 和貴, 長谷川 弘一, 佐竹 將宏, 塩谷 隆信
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 ( 一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 ) 28 ( 3 ) 406 - 411 2020年
<p>【目的】本研究の目的は,吸気筋トレーニングが運動耐容能に及ぼす影響を,上肢エルゴメータと下肢エルゴメータで測定し,比較検討することである.</p><p>【方法】本研究は,健常成人男性42名を対象にして吸気筋トレーニングを行った.吸気筋トレーニングは対象者を負荷強度によって60%PImax,30%PImax,10%PImaxの3群に群分けし,1日30呼吸2セットを2回,8週間行った.対象者に呼吸機能,呼吸筋力,吸気筋耐久力,peak<img align="middle" src="./Graphics/abst-28_406_a.jpg"/>O<sub>2</sub>の測定をトレーニング前と開始4週後,開始8週後の3回行った.</p><p>【結果】60%群・30%群で呼吸筋力,吸気筋耐久力,上肢エルゴメータによるpeak<img align="middle" src="./Graphics/abst-28_406_a.jpg"/>O<sub>2</sub>に有意な向上がみられた.トレーニング条件による効果の差は呼吸筋力と吸気筋耐久力にみられた.</p><p>【結論】本研究から吸気筋トレーニングをPImaxの60%負荷,30%負荷で8週間介入することによって,呼吸筋力と吸気筋耐久力,上肢のpeak<img align="middle" src="./Graphics/abst-28_406_a.jpg"/>O<sub>2</sub>が改善する可能性が示唆された.</p>
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若年健常者を対象とした吸気筋に対するインターバルトレーニングの有用性
窪田 美香, 佐竹 將宏, 岩倉 正浩, 古川 大, 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 塩谷 隆信
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 ( 一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 ) 29 ( 2 ) 292 - 298 2020年
<p>【目的】吸気筋トレーニングとして,2種類のインターバルトレーニング(IT)と従来法を比較し有用性を明らかにすること.</p><p>【方法】健常大学生29名を吸気筋トレーニングの方法によって無作為に3群に分けた.全群とも負荷強度は最大吸気筋力の60%,頻度は2回/日を毎日とし4週間実施した.開始前と4週後に呼吸機能,呼吸筋力・耐久力を測定した.トレーニング(Tr)継続性の指標としてTr実施前後の呼吸困難と,終了時点でのTr継続の可否を調査した.群間差を連続変数では分散分析と多重比較,名義尺度ではカイ二乗検定を用いて検討した.</p><p>【結果】呼吸筋力は全群で,筋耐久力はITにおいて有意に向上した.回数群では従来群と比較してTr実施に伴う呼吸困難が有意に低く,継続可能と答えた者が多かった.</p><p>【結論】吸気筋ITは従来法と同程度の効果が得られ,特に回数指定のITでは実施者の負担軽減によりアドヒアランス向上に寄与する可能性が示唆された.</p>
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佐竹 將宏, 塩谷 隆信, 高橋 仁美, 菅原 慶勇
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 ( 一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 ) 28 ( 2 ) 286 - 290 2019年
<p>6分間歩行試験(6MWT)は,運動耐容能を評価するフィールド歩行テストのひとつであり,呼吸運動療法には必須の評価項目である.6MWTは2002年ATSからガイドラインが発表され方法の統一が提案された.2014年にはERS/ATSからシステマティック・レビューとテクニカル・スタンダードが発表された.</p><p>6MWTの一次評価項目は6分間歩行距離(6MWD)である.6MWDの予測式はEnrightらによって報告されている.日本人の予測式は間もなく本学会から報告される予定である.</p><p>6MWTは,「6分間にできるだけ長い距離を歩くこと」と定義されている.我々は6MWTの運動負荷は定常負荷であること,また携帯型呼気ガス分析装置等を用いて,6MWTの負荷強度は嫌気性代謝閾値以上であることを示唆した.</p><p>近年,6MWTは多くの呼吸器および循環器疾患の運動耐容能の評価に必要な検査となってきている.6MWTについて,その生理学意義や特性を理解し,さらにどの施設においても標準的な方法で実施できることが大切である.</p>
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KIKUCHI Kazuto, SATAKE Masahiro, TERUI Yoshino, KIMOTO Yusuke, IWASAWA Satomi, FURUKAWA Yutaka
Physical Therapy Research ( 日本理学療法士学会 ) 22 ( 2 ) 58 - 65 2019年
<p>Purpose: Mechanically assisted coughing (MAC) is an airway clearance method in which the thorax/abdomen is compressed in synchronization with mechanical insufflation-exsufflation (MI-E). MAC can be performed with manual assistance at the upper thorax (MAC-UT), lower thorax (MAC-LT), and upper thorax + abdomen (MAC-UT/A). This study aimed to determine the most effective approach under different conditions (air stacking or tracheostomy) in patients with neuromuscular disorders (NMDs). Methods: The study included 34 patients with NMDs. The patients were categorized into air stacking group (n=15), no air stacking group (n=9), and tracheostomy/tracheostomy positive-pressure ventilation (TPPV) group (n=10). Results: In each group, the cough peak flow (CPF) at 75% of the forced vital capacity (V75), V50, V25, and V10 were investigated during the approaches. In the air stacking group, the CPF was higher with MAC-UT, MAC-LT, and MAC-UT/A than with MI-E (p < 0.05). Additionally, V75 was higher with MAC-LT and MAC-UT/A than with MI-E (p < 0.05 and p < 0.01, respectively). In the no air stacking group, V75 was higher with MAC-UT/A than with MI-E (p < 0.05). In the tracheotomy/TPPV group, there were no significant differences. Conclusions: MAC approaches, especially MAC-LT and MAC-UT/A, are preferred in air stacking patients. However, in tracheostomy/TPPV patients, the CPF might not increase with MAC.</p>
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Kikuchi K.
Rigakuryoho Kagaku ( Rigakuryoho Kagaku ) 34 ( 1 ) 143 - 147 2019年
<p>〔目的〕右中・下葉および左下葉の無気肺を呈している重症心身障がい者(重症者)に対して,機械による咳介助(MI-E)と体位ドレナージ(PDT)で右中・下葉の無気肺が治癒し,動的肺コンプライアンス(Cdyn)が有意に増加した症例を報告する.〔対象と方法〕37歳男性.気管切開下の人工呼吸器管理(TPPV).四肢麻痺.Cobb角92.8°の側弯.右中・下葉の無気肺にはMI-EとPDTを実施した.左下葉には重度側弯により不十分なPDT下でのMI-Eを実施した.〔結果〕右中・下葉の無気肺は治癒したが,左下葉の無気肺は治癒しなかった.Cdynは介入6週間後に有意に改善した.〔結語〕重度側弯な重症者にはMI-Eと最適なPDTが必要である.</p>
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古川 大, 大倉 和貴, 岩倉 正浩, 柴田 和幸, 川越 厚良, 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 佐竹 將宏, 塩谷 隆信
理学療法学Supplement ( 公益社団法人 日本理学療法士協会 ) 46 ( 0 ) A - 59_1-A-59_1 2019年
<p>【背景および目的】慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者は、気流閉塞に伴う動的肺過膨張により、労作性の呼吸困難感や運動耐容能の低下をきたすことが知られている。本研究では、動的肺過膨張と身体活動量(PA)との関連性を明らかにすることを目的とした。</p><p> </p><p>【方法】安定期男性COPD患者14名(年齢:74 ± 6 歳,FEV<sub>1</sub>:56.6 ± 21.1 %pred)を対象とした。動的肺過膨張の測定には、SP-370 COPD肺Perプラス(フクダ電子)を用いた。対象には、内蔵されている電子メトロノームを用いて呼吸数を20回/分、30回/分、40回/分の3条件に規定した呼吸を30秒間行わせ、その直後に最大吸気量(IC)を測定した。測定されたICをそれぞれIC<sub>20</sub>、IC<sub>30</sub>、IC<sub>40</sub>、さらに安静時との差を⊿IC<sub>20</sub>、⊿IC<sub>30</sub>、⊿IC<sub>40</sub>とし、動的肺過膨張の指標とした。身体活動量の指標は、1日の平均歩数(Steps)および中強度以上の平均活動時間(MVPA)を用いた。統計解析は、対象を⊿IC<sub>20</sub>、⊿IC<sub>30</sub>、⊿IC<sub>40</sub>の中央値を境にそれぞれ低変化群、高変化群の2群に分け、身体活動量の差をMann-WhitneyのU検定を用いて比較した。</p><p> </p><p>【結果】低変化群(n=7)と高変化群(n=7)で比較した結果、 ⊿IC<sub>20</sub>の中央値を基準とした比較において、高変化群のMVPAが有意に低い値を示した(<i>P</i>=0.039)。また、⊿IC<sub>20</sub>におけるSteps、⊿IC<sub>30</sub>および⊿IC<sub>40</sub>のSteps、MVPAで有意な差は認めなかった。</p><p> </p><p>【考察および結論】本研究では、⊿IC<sub>20</sub>の中央値を基準とした群間比較においてMVPAでのみ高変化群で有意に低値を示した。この結果から、20回/分と軽度の呼吸数増加においてもICが減少する傾向にある症例では、身体活動の中でも中強度以上の運動時間が減少している可能性が示唆された。従って、軽度の過換気負荷でも動的肺過膨張が生じる症例に対しては、運動中の呼吸調整のための呼吸練習や呼吸パターンを改善させることが報告されている呼吸筋トレーニングなどの介入を行う必要があると考えられる。</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>倫理的配慮</p><p>本研究に関するすべての研究者は、ヘルシンキ宣言(2013年10月WMAフォルタレザ総会改訂版)を遵守して、本研究を実施した。</p><p>説明と同意</p><p> 1) 本試験のデザインおよび根拠(意義、必要性、目的など)</p><p> 2) 研究への参加予定期間</p><p> 3) 研究に参加する予定の被検者数</p><p> 4) 予期される有害事象、合併症、後遺症とその対処法について</p><p> 5) 研究に参加することで被験者に予想される利益と可能性のある不利益</p><p> 6) 同意拒否と同意撤回</p><p> 研究参加に先立っての同意拒否が自由であることや、いったん同意した後の同意の撤回も自由であり、それにより不当な不利益を受けないこと。</p><p> 7) 人権保護</p><p> 氏名や個人情報は守秘されるための最大限の努力が払われること。</p><p> 8) 質問の自由</p><p>以上のように研究についての説明を行った以降に、被験者が研究の内容をよく理解したことを確認した上で、研究の参加について依頼する。被験者本人が研究参加に同意した場合、同意書を用い、説明した者の氏名、説明を受け同意した被検者名、同意を得た日付を記載し、研究者、被験者各々が署名した。</p>
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慢性閉塞性肺疾患患者における運動耐容能と日常生活の低活動性動作との関連性
川越 厚良, 清川 憲孝, 岩倉 正浩, 大倉 和貴, 柴田 和幸, 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 佐竹 將宏, 塩谷 隆信
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 ( 一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 ) 28 ( 1 ) 144 - 150 2019年
<p>【目的】慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者における6分間歩行距離(six-minutes walking distance:以下6MWD)と日常生活の低活動性動作との関連性を検討する.</p><p>【対象および方法】対象は3軸加速度計A-MES<sup>TM</sup>(ソリッド・ブレインズ社製,熊本)を用いて,在宅生活の1日における姿勢・動作時間の平均値を求めた安定期高齢COPD患者30例(年齢74±7歳,%FEV<sub>1</sub>: 55.9±26.1%)とした.対象者を低運動耐容能群(6MWD<357 m,LEC群)と高運動耐容能群(6MWD≧357 m,HEC群)に群分けし,それぞれの姿勢・動作時間を比較し,さらに全対象者における各種運動機能指標との関連性を検討した.</p><p>【結果】LEC群における1日の座位+臥位時間はHEC群に比べ有意に多く(548±100分/日 vs 454±118分/日,p<.05),座位+臥位時間は6MWD(r=-0.451,p<.05)および膝伸展筋力(r=-0.487,p<.05)と有意な負の相関関係が得られた.</p><p>【まとめ】日常生活における座位+臥位時間の延長は運動耐容能の低下と有意な関連性があり,COPD患者の予後改善に向けて重要な因子となることが示唆された.</p>
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慢性閉塞性肺疾患患者の生存転帰に関連する身体活動量および基準値の検討
川越 厚良, 清川 憲孝, 岩倉 正浩, 大倉 和貴, 柴田 和幸, 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 佐竹 將宏, 塩谷 隆信
理学療法学 ( 日本理学療法士学会 ) 46 ( 4 ) 250 - 258 2019年
<p>【目的】慢性閉塞性肺疾患(以下,COPD)患者の予後に関連する身体活動量(以下,PA)と基準値について,後方視的に検討した。【方法】対象はカルテによる追跡調査が可能であったCOPD 患者25 例である。調査期間中に死亡した8 例を非生存群,調査終了時点で生存していた17 例を生存群とし,2 群間における呼吸・身体機能項目ならびにPA を比較した。また,予後に関連する因子の検討として,ロジスティック回帰分析を行い,カットオフ値を算出した。【結果】生存群と比較し,非生存群では1 日の歩行時間および起立回数が有意に低値を示した。ロジスティック回帰分析では歩行時間,起立回数が有意な因子として算出され,カットオフ値は歩行時間が167 分/ 日,起立回数が30 回/ 日であった。【結論】COPD 患者の生存転帰に関連する基準値として,1 日の歩行時間は167 分/ 日未満,起立回数は30 回/ 日未満が有意に関連している可能性が示唆された。</p>
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歩行時体幹加速度によるCOPD患者の歩行時重心変位と左右対称性の評価
照井 佳乃, 塩谷 隆信, 岩倉 正浩, 須藤 恵理子, 川越 厚良, 大倉 和貴, 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 長谷川 弘一, 佐竹 將宏
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 ( 一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 ) 28 ( 2 ) 335 - 341 2019年
<p>【目的】歩行時におけるCOPD患者の加速度データから算出した重心変位の特徴を明らかにすることを目的とした.</p><p>【方法】対象はCOPD患者16名,健常高年者21名とし,3軸加速度計を腰部に装着して 10 mを歩行させた.加速度から重心変位を算出し,左右と上下重心変位をプロットした運動軌道図から左右対称性の指標であるLissajous Index(以下,運動軌道LI)を算出した.重心変位や運動軌道LIと身体機能諸指標との関連を検討した.</p><p>【結果】COPD患者の左右重心変位は健常高年者よりも有意に拡大し,片脚立位保持時間,大腿四頭筋筋力,呼吸困難感との間に有意な相関関係がみられた.運動軌道LIは両群間に有意差がみられず,身体機能との相関関係もみられなかった.</p><p>【結論】左右重心変位は立位バランス能力や下肢筋力を反映した評価指標である可能性が示唆された.COPD患者の歩行時重心変位左右非対称性を運動軌道LIにて評価することは困難であると考えられた.</p>
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菊地 和人, 和田 千鶴, 佐竹 將宏, 岩澤 里美, 鈴木 瞭平, 照井 佳乃, 信太 春人, 井上 拓人, 手賀 和輝, 小林 道雄
理学療法学Supplement ( 公益社団法人 日本理学療法士協会 ) 46 ( 0 ) A - 57_1-A-57_1 2019年
<p>【背景・目的】筋強直性ジストロフィー(DM1)患者における脂肪量指数(FMI)および除脂肪量指数(FFMI)などの身体組成は、安静時エネルギー消費量(REE)を変化させる要因であると考えられる。先行研究では、REEと全身のFFMI、Muscular Disability Rating Scale(MIRS)とFMIにそれぞれ有意な正の相関を示し、FMIと呼吸機能には有意な負の相関を示したと報告されている。しかし、REEと身体組成に関する報告はまだ少ない。本研究の目的はDM1患者におけるREEと身体組成の関連を明らかにすることである。</p><p>【方法】当院入院中の歩行不能なMIRS5の男性DM1患者10名(年齢50.6±7.5歳、BMI20.5±2kg/m<sup>2</sup>、CTGリピート数1271±510回、FIM74.6±23.2点、%VCは50±15%)を対象とした。代謝の測定には、携帯型呼気ガス代謝モニター(MetaMax3B:CORTEX社製)を使用した。基礎代謝量(BEE)はHarris-Benedictの式で推定し、REEは安静臥位のエネルギー消費量(EE)とした。身体組成を二重エネルギーX線吸収測定法で得られた全身及び四肢の除脂肪量と脂肪量を身長の二乗で除したFFMIとFMIを算出した値とした。統計解析はREEとBEEの比較を対応のあるT検定、REE及び基礎情報と身体組成の関連をPearsonの相関係数と偏相関係数を用いて検討し、有意水準は5%未満とした。</p><p> </p><p>【結果】REEと全身FMI、全身FFMI、上肢FMI、下肢FMI、上肢FFMI、下肢FFMIに相関関係を認めなかった。REEは1088±200kcal、BEEは1345±229kcalで、BEEと比較してREEは有意に低値を示した(p<0.05)。BMIと上肢FFMI(r=0.74、p<0.05)、下肢FFMI(r=0.89、p<0.01)にそれぞれ有意な正の相関を認めた。CTGリピート数と下肢FMIに有意な負の相関を認めた(r=-0.79、p<0.01)。%VCと全身FFMIに有意な正の相関を認めた(r=0.67、p<0.05)。</p><p> </p><p>【考察および結論】REEとFFMIの関連はなかった。BMIは四肢の骨格筋量を反映し、重症な患者ほど下肢の脂肪萎縮を呈していたことが示唆された。</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】本研究は対象者に対して、研究の目的と方法、期待される効果、研究協力に関する利益、不利益を伝えたうえで異議申し立て可能であること、また個人の人権擁護においても患者を特定できる情報を一切用いないことを口頭及び紙面にて説明し同意を得た。本研究は、国立病院機構あきた病院倫理審査の承認(No.29-5)を受け、ヘルシンキ宣言に基づいて実施した。</p>
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脳卒中片麻痺者の短下肢装具の装着方法について:—装具の種類および身体機能・バランス能力との関係—
佐々木 紀葉, 佐竹 將宏, 伊東 知晃, 木元 祐介, 岩澤 里美, 照井 佳乃, 上村 佐知子
日本義肢装具学会誌 ( 日本義肢装具学会 ) 35 ( 3 ) 219 - 224 2019年
<p>本研究の目的は,脳卒中片麻痺者の短下肢装具(AFO)の装着方法を調査し,AFOの種類,身体機能およびバランス能力との関係を明らかにすることであった.対象は,AFOの着脱が自立している脳卒中片麻痺者26名(男性18名,女性8名)で,平均年齢は59.3±12.0歳であった.AFOの装着動作を分析した結果,装具を床に立てて装着する方法(立型)と足を組んで装着する方法(組型),その他に分類することができた.立型と組型では装具の種類に有意な違いがみられ,立型は組型よりも感覚と体幹屈曲機能が有意に高く,組型は立型よりも膝伸展筋力と座位バランスが有意に高い値を示した.脳卒中片麻痺者のAFOの装着方法には,装具の種類と身体機能およびバランス能力の違いが影響することが示唆された.</p>
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転倒歴を有する高齢者に対する小型3軸加速度計を用いた二重課題歩行能力の検討
鈴木 瞭平, 佐竹 將宏, 岩澤 里美, 菊地 和人, 木元 裕介, 照井 佳乃
理学療法学Supplement ( 公益社団法人 日本理学療法士協会 ) 46 ( 0 ) C - 92_2-C-92_2 2019年
<p>【はじめに、目的】</p><p>近年は、歩行中に一つの課題の遂行を求める、二重課題(Dual Task;以下DT)歩行が着目されている。DT歩行では高齢者は若年者と比較し、歩行速度や安定性の低下、姿勢動揺が増大することなどが報告されている。 DT歩行において転倒に着目した研究は散見されるが、歩行中の体幹動揺性や左右対称性について加速計を用いて着目した研究は少ない。そのため、本研究では高齢者のDT歩行における歩行能力について、転倒歴による違いを明らかにすることを目的とした。</p><p> </p><p>【方法】</p><p>対象者は歩行補助具を使用せず16m以上独歩可能な65歳以上の高齢者54名(男性17名、女性37名)であった。</p><p> 対象者の背中に専用ベルトで小型加速度計を第6胸椎部および第3腰椎部の2か所に装着し、快適歩行とDT歩行を実施した。計測機器は8チャンネル小型無線モーションレコーダー(MVP-RF8-HC-500;マイクロストーン社製、45mm×45mm×18mm)を使用した。得られた加速度より、歩行周期変動係数(Coefficient of Variability;以下CV)、三軸平均Root Mean Square(以下RMS)、Lissajous Index(以下LI)を算出した。DT歩行として、減算課題を課した減算歩行と、ボール運び課題を課したボール運び歩行の2種類を実施した。</p><p> その他、心身機能評価として、30秒chair-stand test(以下CS-30)、Timed Up and GO test(以下TUG)、Mini Mental State Examination(以下MMSE)、Trail Making Test(以下TMT)を実施した。</p><p> </p><p>【結果】</p><p>対象者の内、転倒歴のある者は11名であった。CS-30、TUG、MMSE、TMTは転倒歴の有無で有意な差は認められなかった。また、快適歩行、ボール運び歩行において歩行速度、CV、RMS、LIそれぞれで転倒群、非転倒群に有意な差は認められなかった。しかし、減算歩行において歩行速度は転倒群で1.3±0.2m/s、非転倒群で1.4±0.2 m/sとなり、転倒群が有意に低かった。また、胸椎と腰椎のRMSは転倒群でそれぞれ7.3±2.6 m/s <sup>2</sup>、7.2±2.6 m/s <sup>2</sup>、非転倒群でそれぞれ5.3±2.0 m/s <sup>2</sup>、5.2±2.0 m/s <sup>2</sup>となり、転倒群では胸椎と腰椎のRMSは有意に高いことが認められた。CV、LIでは転倒群、非転倒群に有意差は認められなかった。</p><p> </p><p>【結論】</p><p>転倒群では減算歩行の歩行速度と胸椎・腰椎RMSでのみ、非転倒群と有意差が認められたことから、転倒リスクの高い者は減算歩行において体幹動揺性が増大する可能性が示唆された。したがって、高齢者に対して減算歩行を実施し、歩行速度やRMSを評価することで、CS-30やTUG、快適歩行では評価できない転倒リスクを評価することができる可能性が示唆された。</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は秋田大学大学院医学系研究科倫理委員会の承認(受付番号1761)を得ている。対象者へは本研究の目的と内容を書面および口頭で説明し、書面にて同意を得た上で実施した。</p>
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慢性閉塞性肺疾患患者における動的肺過膨張と身体活動量の関連
古川 大, 大倉 和貴, 岩倉 正浩, 柴田 和幸, 川越 厚良, 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 佐竹 將宏, 塩谷 隆信
理学療法学Supplement ( 公益社団法人 日本理学療法士協会 ) 46S1 ( 0 ) A-59_1 - A-59_1 2019年
<p>【背景および目的】慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者は、気流閉塞に伴う動的肺過膨張により、労作性の呼吸困難感や運動耐容能の低下をきたすことが知られている。本研究では、動的肺過膨張と身体活動量(PA)との関連性を明らかにすることを目的とした。</p><p> </p><p>【方法】安定期男性COPD患者14名(年齢:74 ± 6 歳,FEV<sub>1</sub>:56.6 ± 21.1 %pred)を対象とした。動的肺過膨張の測定には、SP-370 COPD肺Perプラス(フクダ電子)を用いた。対象には、内蔵されている電子メトロノームを用いて呼吸数を20回/分、30回/分、40回/分の3条件に規定した呼吸を30秒間行わせ、その直後に最大吸気量(IC)を測定した。測定されたICをそれぞれIC<sub>20</sub>、IC<sub>30</sub>、IC<sub>40</sub>、さらに安静時との差を⊿IC<sub>20</sub>、⊿IC<sub>30</sub>、⊿IC<sub>40</sub>とし、動的肺過膨張の指標とした。身体活動量の指標は、1日の平均歩数(Steps)および中強度以上の平均活動時間(MVPA)を用いた。統計解析は、対象を⊿IC<sub>20</sub>、⊿IC<sub>30</sub>、⊿IC<sub>40</sub>の中央値を境にそれぞれ低変化群、高変化群の2群に分け、身体活動量の差をMann-WhitneyのU検定を用いて比較した。</p><p> </p><p>【結果】低変化群(n=7)と高変化群(n=7)で比較した結果、 ⊿IC<sub>20</sub>の中央値を基準とした比較において、高変化群のMVPAが有意に低い値を示した(<i>P</i>=0.039)。また、⊿IC<sub>20</sub>におけるSteps、⊿IC<sub>30</sub>および⊿IC<sub>40</sub>のSteps、MVPAで有意な差は認めなかった。</p><p> </p><p>【考察および結論】本研究では、⊿IC<sub>20</sub>の中央値を基準とした群間比較においてMVPAでのみ高変化群で有意に低値を示した。この結果から、20回/分と軽度の呼吸数増加においてもICが減少する傾向にある症例では、身体活動の中でも中強度以上の運動時間が減少している可能性が示唆された。従って、軽度の過換気負荷でも動的肺過膨張が生じる症例に対しては、運動中の呼吸調整のための呼吸練習や呼吸パターンを改善させることが報告されている呼吸筋トレーニングなどの介入を行う必要があると考えられる。</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>倫理的配慮</p><p>本研究に関するすべての研究者は、ヘルシンキ宣言(2013年10月WMAフォルタレザ総会改訂版)を遵守して、本研究を実施した。</p><p>説明と同意</p><p> 1) 本試験のデザインおよび根拠(意義、必要性、目的など)</p><p> 2) 研究への参加予定期間</p><p> 3) 研究に参加する予定の被検者数</p><p> 4) 予期される有害事象、合併症、後遺症とその対処法について</p><p> 5) 研究に参加することで被験者に予想される利益と可能性のある不利益</p><p> 6) 同意拒否と同意撤回</p><p> 研究参加に先立っての同意拒否が自由であることや、いったん同意した後の同意の撤回も自由であり、それにより不当な不利益を受けないこと。</p><p> 7) 人権保護</p><p> 氏名や個人情報は守秘されるための最大限の努力が払われること。</p><p> 8) 質問の自由</p><p>以上のように研究についての説明を行った以降に、被験者が研究の内容をよく理解したことを確認した上で、研究の参加について依頼する。被験者本人が研究参加に同意した場合、同意書を用い、説明した者の氏名、説明を受け同意した被検者名、同意を得た日付を記載し、研究者、被験者各々が署名した。</p>
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筋強直性ジストロフィーⅠ型患者の代謝と身体組成の関連性
菊地 和人, 佐竹 將宏, 岩澤 里美, 鈴木 瞭平, 照井 佳乃, 信太 春人, 井上 拓人, 手賀 和輝, 小林 道雄, 和田 千鶴
理学療法学Supplement ( 公益社団法人 日本理学療法士協会 ) 46S1 ( 0 ) A-57_1 - A-57_1 2019年
<p>【背景・目的】筋強直性ジストロフィー(DM1)患者における脂肪量指数(FMI)および除脂肪量指数(FFMI)などの身体組成は、安静時エネルギー消費量(REE)を変化させる要因であると考えられる。先行研究では、REEと全身のFFMI、Muscular Disability Rating Scale(MIRS)とFMIにそれぞれ有意な正の相関を示し、FMIと呼吸機能には有意な負の相関を示したと報告されている。しかし、REEと身体組成に関する報告はまだ少ない。本研究の目的はDM1患者におけるREEと身体組成の関連を明らかにすることである。</p><p>【方法】当院入院中の歩行不能なMIRS5の男性DM1患者10名(年齢50.6±7.5歳、BMI20.5±2kg/m<sup>2</sup>、CTGリピート数1271±510回、FIM74.6±23.2点、%VCは50±15%)を対象とした。代謝の測定には、携帯型呼気ガス代謝モニター(MetaMax3B:CORTEX社製)を使用した。基礎代謝量(BEE)はHarris-Benedictの式で推定し、REEは安静臥位のエネルギー消費量(EE)とした。身体組成を二重エネルギーX線吸収測定法で得られた全身及び四肢の除脂肪量と脂肪量を身長の二乗で除したFFMIとFMIを算出した値とした。統計解析はREEとBEEの比較を対応のあるT検定、REE及び基礎情報と身体組成の関連をPearsonの相関係数と偏相関係数を用いて検討し、有意水準は5%未満とした。</p><p> </p><p>【結果】REEと全身FMI、全身FFMI、上肢FMI、下肢FMI、上肢FFMI、下肢FFMIに相関関係を認めなかった。REEは1088±200kcal、BEEは1345±229kcalで、BEEと比較してREEは有意に低値を示した(p<0.05)。BMIと上肢FFMI(r=0.74、p<0.05)、下肢FFMI(r=0.89、p<0.01)にそれぞれ有意な正の相関を認めた。CTGリピート数と下肢FMIに有意な負の相関を認めた(r=-0.79、p<0.01)。%VCと全身FFMIに有意な正の相関を認めた(r=0.67、p<0.05)。</p><p> </p><p>【考察および結論】REEとFFMIの関連はなかった。BMIは四肢の骨格筋量を反映し、重症な患者ほど下肢の脂肪萎縮を呈していたことが示唆された。</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】本研究は対象者に対して、研究の目的と方法、期待される効果、研究協力に関する利益、不利益を伝えたうえで異議申し立て可能であること、また個人の人権擁護においても患者を特定できる情報を一切用いないことを口頭及び紙面にて説明し同意を得た。本研究は、国立病院機構あきた病院倫理審査の承認(No.29-5)を受け、ヘルシンキ宣言に基づいて実施した。</p>
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転倒歴を有する高齢者に対する小型3軸加速度計を用いた二重課題歩行能力の検討
鈴木 瞭平, 佐竹 將宏, 岩澤 里美, 菊地 和人, 木元 裕介, 照井 佳乃
理学療法学Supplement ( 公益社団法人 日本理学療法士協会 ) 46S1 ( 0 ) C-92_2 - C-92_2 2019年
<p>【はじめに、目的】</p><p>近年は、歩行中に一つの課題の遂行を求める、二重課題(Dual Task;以下DT)歩行が着目されている。DT歩行では高齢者は若年者と比較し、歩行速度や安定性の低下、姿勢動揺が増大することなどが報告されている。 DT歩行において転倒に着目した研究は散見されるが、歩行中の体幹動揺性や左右対称性について加速計を用いて着目した研究は少ない。そのため、本研究では高齢者のDT歩行における歩行能力について、転倒歴による違いを明らかにすることを目的とした。</p><p> </p><p>【方法】</p><p>対象者は歩行補助具を使用せず16m以上独歩可能な65歳以上の高齢者54名(男性17名、女性37名)であった。</p><p> 対象者の背中に専用ベルトで小型加速度計を第6胸椎部および第3腰椎部の2か所に装着し、快適歩行とDT歩行を実施した。計測機器は8チャンネル小型無線モーションレコーダー(MVP-RF8-HC-500;マイクロストーン社製、45mm×45mm×18mm)を使用した。得られた加速度より、歩行周期変動係数(Coefficient of Variability;以下CV)、三軸平均Root Mean Square(以下RMS)、Lissajous Index(以下LI)を算出した。DT歩行として、減算課題を課した減算歩行と、ボール運び課題を課したボール運び歩行の2種類を実施した。</p><p> その他、心身機能評価として、30秒chair-stand test(以下CS-30)、Timed Up and GO test(以下TUG)、Mini Mental State Examination(以下MMSE)、Trail Making Test(以下TMT)を実施した。</p><p> </p><p>【結果】</p><p>対象者の内、転倒歴のある者は11名であった。CS-30、TUG、MMSE、TMTは転倒歴の有無で有意な差は認められなかった。また、快適歩行、ボール運び歩行において歩行速度、CV、RMS、LIそれぞれで転倒群、非転倒群に有意な差は認められなかった。しかし、減算歩行において歩行速度は転倒群で1.3±0.2m/s、非転倒群で1.4±0.2 m/sとなり、転倒群が有意に低かった。また、胸椎と腰椎のRMSは転倒群でそれぞれ7.3±2.6 m/s <sup>2</sup>、7.2±2.6 m/s <sup>2</sup>、非転倒群でそれぞれ5.3±2.0 m/s <sup>2</sup>、5.2±2.0 m/s <sup>2</sup>となり、転倒群では胸椎と腰椎のRMSは有意に高いことが認められた。CV、LIでは転倒群、非転倒群に有意差は認められなかった。</p><p> </p><p>【結論】</p><p>転倒群では減算歩行の歩行速度と胸椎・腰椎RMSでのみ、非転倒群と有意差が認められたことから、転倒リスクの高い者は減算歩行において体幹動揺性が増大する可能性が示唆された。したがって、高齢者に対して減算歩行を実施し、歩行速度やRMSを評価することで、CS-30やTUG、快適歩行では評価できない転倒リスクを評価することができる可能性が示唆された。</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は秋田大学大学院医学系研究科倫理委員会の承認(受付番号1761)を得ている。対象者へは本研究の目的と内容を書面および口頭で説明し、書面にて同意を得た上で実施した。</p>
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Approaches to cough peak flow measurement with duchenne muscular dystrophy
Kikuchi K.
Respiratory Care ( Respiratory Care ) 63 ( 12 ) 1514 - 1519 2018年12月
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Shioya T.
Respiratory Investigation ( Respiratory Investigation ) 56 ( 4 ) 292 - 306 2018年07月
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Saito M.
Rigakuryoho Kagaku ( Rigakuryoho Kagaku ) 33 ( 4 ) 569 - 576 2018年
〔目的〕筋腱温存法とDall法のTHA術式で身体機能と体幹,骨盤傾斜角度の経時的変化を比較検討した.〔対象と方法〕MIS群7例9股,Dall群14例14股を対象にROM,筋力,10 m歩行時間,HHS,歩容を術前,術後1週,2週,4週で評価し,比較対照は健常群10例10股とし経時的推移を分析した.〔結果〕術後4週でMIS群は股関節伸展,外転筋力が回復しDall群は外転筋力が遅延した.MIS群の体幹,骨盤傾斜は改善しDall群の骨盤傾斜は残存した.両術群は健常群より有意なROM制限,筋力低下,体幹傾斜がみられた.〔結語〕Dall群に比べMIS群の筋力回復や歩容改善が早かった。THA術式の相違は術後の経過に影響があり,早期から長期的に継続できるような運動内容で指導する必要がある.
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塩谷 隆信, 川越 厚良, 高橋 仁美, 佐野 正明, 照井 佳乃, 佐竹 將宏
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 ( 一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 ) 28 ( 0 ) 103s - 1-103s-1 2018年
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Evaluation of gait symmetry using a tri-axial accelerometer in stroke patients
Terui Y.
NeuroRehabilitation ( NeuroRehabilitation ) 42 ( 2 ) 173 - 180 2018年
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Terui Y.
International Journal of COPD ( International Journal of COPD ) 13 3957 - 3962 2018年
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Sumikawa A.
Rigakuryoho Kagaku ( Rigakuryoho Kagaku ) 33 ( 4 ) 561 - 567 2018年
〔目的〕新規3軸加速度計DynaPort MoveMonitor(DMM)の姿勢・動作判定の妥当性を検討することを目的とした.〔対象と方法〕健常大学生26名を対象とし,DMMにてCycling(自転車運動)が正しく判定される時間の割合を求めた.Sitting(座位),Standing(立位),Walking(歩行),Stair Walking(階段昇降)について感度の算出,およびBland-Altman分析を行った.〔結果〕自転車運動の正しく判定される割合は約3割であった.歩行と階段昇降の感度は各々80%以上であり,座位と立位を合わせた静的動作としての感度が88.5%だった.〔結語〕DMMにより自転車運動時間の約3割が正しく判定され,座位と立位は合わせて結果を判断する必要性が示唆された.
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回復期脳卒中片麻痺患者に対する部分免荷型トレッドミル歩行練習の即時効果:─非免荷型トレッドミル歩行練習との比較─
佐藤 瑞騎, 倉田 昌一, 岩倉 正浩, 大倉 和貴, 新田 潮人, 照井 佳乃, 佐竹 將宏, 塩谷 隆信
理学療法学 ( 日本理学療法士学会 ) 45 ( 3 ) 197 - 202 2018年
<p>【緒言】片麻痺患者に対する部分免荷型トレッドミル歩行練習(以下,BWSTT)の即時効果を明らかにする。【方法】片麻痺患者10 名(平均年齢71 ± 11 歳)にBWSTT と非免荷型トレッドミル歩行練習(以下,FBWTT)を施行し,10 m 歩行試験の結果を比較・検討した。評価項目は歩行速度,歩幅,歩行率,左右・上下重心移動距離,左右・上下RMS,麻痺側脚・非麻痺側脚の1 歩行周期変動係数とし,3 軸加速度計を用いて抽出した。【結果】BWSTT により最大歩行速度,歩幅,歩行率,麻痺側脚の1 歩行周期変動係数,上下RMS が有意に改善した。また同様の項目と非麻痺側脚の1 歩行周期変動係数においてBWSTT がFBWTT より有意な改善が認められ,歩行速度変化率は歩行率変化率と正の相関が認められた。【結論】BWSTTは片麻痺患者に対して歩行能力向上の即時効果が期待され,FBWTTよりも有意であった。また歩行速度の改善は歩行率の改善が寄与していた。</p>
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慢性閉塞性肺疾患に対する吸気筋トレーニングの効果:運動耐容能向上群と非向上群の比較
大倉 和貴, 柴田 和幸, 岩倉 正浩, 川越 厚良, 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 若林 育子, 佐竹 將宏, 塩谷 隆信
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 ( 一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 ) 27 ( 3 ) 342 - 348 2018年
<p>【目的】慢性閉塞性肺疾患(COPD)において,呼吸リハビリテーションに吸気筋トレーニング(IMT)を追加することにより運動耐容能が向上した症例と向上に乏しい症例の特徴を比較すること.</p><p>【方法】IMTを3ヶ月以上実施した安定期COPD患者25名を6分間歩行距離(6MWD)の増加量により運動耐容能向上群(IG)と非向上群(SG)の2群に後方視的に分けた.IMT開始前後に最大吸気口腔内圧(PImax),大腿四頭筋筋力を測定,6分間歩行試験(6MWT)を実施し,測定値の差を比較した.</p><p>【結果】IGではSGと比較して,平均年齢が低く,IMT開始前の大腿四頭筋筋力が高く,6MWT後の呼吸困難が強かった.また,IMT期間前後のPImax,6MWT後の呼吸困難の改善量が大きかった.</p><p>【結論】IMTを追加併用することで運動耐容能の向上が期待される症例の特徴を示した.IMTを推奨するエビデンスレベルは高くないが,適応症例を検討することで有効なトレーニングになると考える.</p>
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伊東 知晃, 佐竹 將宏, 佐々木 紀葉, 大倉 和貴, 高橋 仁美, 塩谷 隆信
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 ( 一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 ) 27 ( 3 ) 323 - 329 2018年
<p>本研究の目的は,1日1回の漸増的多段階負荷による吸気筋トレーニング(IMT)の効果を検討することであった.健常成人28名(男性13名,女性15名,年齢20.8±1.2歳,BMI 20.8±2.1)を対象に,PImaxの30%,50%,70%負荷を順次30呼吸ずつ行う多段階負荷群(多段階群),50%PImaxで30呼吸を3セット行う一定負荷群(一定群),15%PImaxで30呼吸を3セット行う対照群の3群に分け,1日1回,4週間実施した.評価項目は呼吸機能,呼吸筋力(PImax,PEmax),呼吸筋耐久力(Ppeak,Ppeak/Plmax),運動耐容能であった.その結果,多段階群,一定群ともにPImaxとPpeakが有意に増加した.また,多段階群と一定群には差はみられなかった.1日1回のIMTは有効であり,また多段階負荷を用いることで高負荷をかけても強い疲労感がなく行えることが示唆された.</p>
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福井 智子, 大倉 和貴, 高橋 亜紀穂, 堀水 湧, 伊東 知晃, 佐竹 將宏, 塩谷 隆信
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 ( 一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 ) 27 ( 3 ) 349 - 352 2018年
<p>【目的】吸気筋トレーニング(IMT)の一種である吸気抵抗負荷呼吸において,負荷圧の違いによる呼吸筋活動の特性を明らかにすること.</p><p>【方法】健常若年男性20名に,最大吸気口腔内圧(PImax)の0%(無負荷),20%,40%,60%,80%の各負荷圧で吸気抵抗負荷呼吸を実施させた.その際に,横隔膜の筋厚変化率(∆Tdi%)を超音波画像診断装置,肋間筋と胸鎖乳突筋の筋活動を表面筋電図にて測定した.筋活動は,最大等尺性収縮の交流実効値に対する百分率(%MVC)を算出した.</p><p>【結果】∆Tdi%は,PImaxの40%の負荷で最も高値となり,60%以上の負荷では有意に減少した.肋間筋と胸鎖乳突筋の%MVCは,負荷圧の増加に伴って増大する傾向がみられた.</p><p>【結論】吸気抵抗負荷呼吸法にてIMTを施行する際に,横隔膜のトレーニングを主目的にする場合は,∆Tdi%が最も高値となる40%PImax前後の負荷圧が適し,60%PImax以上の負荷圧では努力吸気筋優位のトレーニングとなることが示唆された.</p>
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Takahashi J.
Sleep and Biological Rhythms ( Sleep and Biological Rhythms ) 15 ( 3 ) 235 - 241 2017年07月
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特集 在宅における呼吸リハビリテーション COPDにおける包括的呼吸リハ・プログラムについて
塩谷 隆信, 岩倉 正浩, 照井 佳乃, 上村 佐知子, 高橋 仁美, 佐竹 将宏
地域リハビリテーション ( 三輪書店 ) 12 ( 6 ) 460 - 466 2017年06月
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佐竹 將宏, 塩谷 隆信
総合リハビリテーション ( 株式会社医学書院 ) 45 ( 6 ) 655 - 658 2017年06月
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Okura K.
Respirology ( Respirology ) 22 ( 2 ) 301 - 306 2017年02月
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3軸加速度計の体幹加速度波形を用いたCOPD患者の歩行時のバランス能力評価
照井 佳乃, 岩倉 正浩, 川越 厚良, 大倉 和貴, 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 上村 佐知子, 佐竹 將宏, 塩谷 隆信
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 ( 一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 ) 27 ( 1 ) 59 - 64 2017年
<p>【目的】体幹加速度から求めたLissajous Index(LI)を用いCOPD患者の歩行時体幹運動の左右対称性を評価しLIの有用性を検討した.</p><p>【方法】対象はCOPD患者16名,健常者21名とした.3軸加速度計を腰部に装着し 10 mを2回歩行した.左右・上下加速度からLIを求め,COPD患者の呼吸機能,下肢筋力,片脚立位保持時間を測定した.COPD患者のLIの検者内信頼性と絶対的信頼性,LIと身体機能評価との関連を検討した.</p><p>【結果】平均LIはCOPD患者34.2±19.2%,健常者21.1±14.1%で,健常者よりもCOPD患者において有意にLIが大きかった.COPD患者におけるLIの検者内信頼性が認められ,系統誤差はみられなかった.COPD患者のLIは片脚立位保持時間と有意な相関を認めた.</p><p>【結論】COPD患者における歩行のバランス能力評価として体幹加速度波形を用いたLIの有用性が示唆された.</p>
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デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者への咳介助方法の違いによるCough Peak Flowの比較とその信頼性の検討
菊地 和人, 佐竹 將宏, 木元 裕介, 岩澤 里美, 鈴木 瞭平, 小林 道雄, 和田 千鶴, 塩谷 隆信
理学療法学Supplement ( 公益社団法人 日本理学療法士協会 ) 2016 ( 0 ) 2017年
<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者における咳介助には,徒手介助や機械による咳介助(MI-E)がある。MI-Eは国内外のガイドラインで推奨されており,咳のピークフロー(CPF)が最も高いと結論付けられている。一方で,咳介助方法には,MI-Eの他に徒手介助やMI-Eに徒手介助を加えた咳介助(MAC)もあるが,これらの方法を用いてCPFを比較検討した報告は少ない。加えて,CPFの値はピークフローメータ(PFM)とMI-Eのディスプレイで示されるが,これらの測定値の信頼性を確認した報告が少ない。そこで,本研究の目的は,効果的な咳介助方法を得るためにすべての介助方法の測定値を比較すること,そしてCPFの信頼性を検討することである。</p><p></p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象は,当院入院中の気管切開していないDMD患者12名(機能障害度ステージVIII,年齢34±8歳)とした。効果的な咳介助を得る方法として,自力,徒手介助(呼気介助,吸気介助,全介助),MI-E,MACでのCPFを測定して比較した。自力と徒手介助のCPFは,PFM(フィリップス社製)に接続したスパイロメータ(AS507;ミナト社製)で測定し,MI-EとMACのCPFは,MI-Eの機器(カフアシストE70;フィリップス社製)に接続したスパイロメータで測定した。統計解析には,1元配置分散分析及び多重比較検定(Tukey法)を用いた。次に,CPFの信頼性を調べるために,徒手介助の際に表示されたPFMとスパイロメータのCPF,MI-Eの機器とスパイロメータのCPFの相対信頼性と絶対信頼性をSpearmanの順位相関係数検定とBlamd-Altman分析を用いて検討した。</p><p></p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>自力咳と咳介助におけるCPFは,自力59±35l/min,呼気介助113±32l/min,吸気介助170±30l/min,全介助224±62l/min,MI-E199±40l/min,MAC240±38l/minであった。多重比較の結果,自力と比べて呼気介助(P<0.05),吸気介助(P<0.01),全介助(P<0.01),MI-E(P<0.01),MAC(P<0.01)と有意な増加を認め,呼気介助と比べて吸気介助(P<0.05),全介助(P<0.01),MI-E(P<0.01),MAC(P<0.01)と有意な増加を認め,吸気介助に比べて全介助(P<0.05),MAC(P<0.01)で有意な増加を認めた。PFMとスパイロメータからのCPFの相関関係は,自力(r=0.93,P<0.05),呼気介助(r=0.97,P<0.05),吸気介助(r=0.8,P<0.05),全介助(r=0.96,P<0.05)であった。MI-EとスパイロメータからのCPFの相関関係は,MI-E(r=0.94,P<0.05),MAC(r=0.98,P<0.05)であった。Bland-Altman分析では,どちらの方法も比例誤差を認めず,PFMとスパイロメータからのCPFにのみ負の加算誤差が認められた。</p><p></p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>咳介助の比較では,ガイドラインで最もCPFが高いと言われているMI-EよりもMACや全介助の方がCPFが高かった。CPFの信頼性は,MI-EとPFMともに高い可能性が示唆された。</p>
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健常成人に対する二つの3軸加速度計を用いた二重課題下の歩行特性の検討
鈴木 瞭平, 佐竹 將宏, 木元 裕介, 岩澤 里美, 菊地 和人
理学療法学Supplement ( 公益社団法人 日本理学療法士協会 ) 2016 ( 0 ) 2017年
<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>高齢者や脳損傷患者に対して減算課題などの二重課題を課した歩行では,運動に必要な情報処理能力が制限され,バランスや歩容に支障をきたすことがいわれている。近年,小型加速度計を用いて二重課題下における歩行特性を評価する研究が行われている。それらは小型加速度計を第3腰椎部に装着した研究がほとんどであるが,上部体幹と骨盤の2か所に着目して歩行特性をみた研究は少ない。そこで,本研究では減算課題を課した二重課題下で上部体幹と骨盤の2か所の動きに着目し,歩行特性の変化を検討することを目的とした。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象者は健常成人10名(男性5名,女性5名,平均年齢28.2±4.0歳)であった。3軸加速度計(8チャンネル小型無線モーションレコーダーMVP-RF8-HC-500;マイクロストーン社製)を,第6胸椎部と仙骨部の2か所に装着した。対象者は前後3mの助走路と減速路を設けた10mの直進路を快適速度で歩行し,single task(快適歩行)とdual task(減算課題を課した歩行)の2種類をそれぞれ2回測定した。3軸加速度計から一歩行周期あたりの平均左右幅,上下幅,前後幅,水平面軌跡長,前額面軌跡長,矢状面軌跡長,歩行周期時間,および歩行速度,歩行周期変動係数(CV),Root mean square(RMS)を算出した。解析には専用のソフトウエア(体幹2点歩行動揺計MVP-WS2-S;マイクロストーン社製)を使用した。統計はsingle taskとdual taskの算出結果を対応のあるt検定を用いて分析した。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>10m快適歩行速度はsingle taskで1.4±1.0m/s,dual taskで1.5±1.1m/sとなり,有意差がみられなかった。第6胸椎部の左右幅はsingle taskで31.6±8.0mm,dual taskで26.9±8.5mm,水平面軌跡長はsingle taskで86.9±12.0mm,dual taskで75.5±17.9mmと,いずれも有意に低下した(p<0.05)。仙骨部においてはどの測定値も有意差がみられなかった。歩行周期時間,CV,RMSも有意な差がみられなかった。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>本研究では二重課題によって,第6胸椎部では左右幅および水平面軌跡長の有意な低下がみられたが,仙骨部の移動量には変化がみられなかった。このことから,健常者において二重課題を与えると骨盤の動きに変化はみられないが,上部体幹の動きは抑制して歩行していることが考えられた。よって,骨盤と上部体幹が異なる変化をする可能性があることから,骨盤と胸椎部の両方の評価の重要性が示唆された。転倒リスクのある高齢者では二重課題を与えるとバランスや歩容に支障をきたすことから,小型加速度計を用いて2か所で計測することで,より詳細な歩行評価が可能になると考えられた。</p>
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地域在住高齢者を対象とした8週間のダイナミックストレッチングプログラムが筋力,筋柔軟性,バランス,歩行能力に与える効果の検討
木元 裕介, 佐竹 將宏, 岩澤 里美, 菊地 和人, 鈴木 瞭平, 皆方 伸
理学療法学Supplement ( 公益社団法人 日本理学療法士協会 ) 2016 ( 0 ) 2017年
<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>本研究の目的はダイナミックストレッチング(DS)プログラムを8週間行った際の,筋力,筋柔軟性,バランス,歩行能力に対する効果を検討することである。近年,スポーツ分野ではDSが注目されており,DSを8週間行うことで,筋柔軟性だけでなくジャンプ力が向上することが報告されている(Turki 2014)。著者らは過去にDSの肢位や運動速度を高齢者にとって行いやすいよう工夫し,優れた急性効果を有することを報告した。今回,地域在住高齢者がDSを日常的に8週間行った際の効果を検討し,それを報告する。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象はA市高齢者サークルから自由意思で参加した地域在住高齢者10名(平均年齢79.3±4.9歳,女性10名)とした。先行研究を参考に,DSプログラムは下肢の筋群に対して関節運動速度と回数を,10回/分(1回6秒)のゆっくりとした速度で12回自動運動を行った。具体的には,椅子座位をとりながら,膝関節屈曲伸展全可動域を自動運動する方法と足関節底背屈全可動域を自動運動する方法,つかまり立位をとりながら,股関節屈曲伸展全可動域を自動運動する方法と股関節内転外転全可動域を自動運動する方法,および膝関節屈曲伸展全可動域を自動運動する方法,以上の5種を1日1回行うものとした。測定はプログラム開始直前,開始から4週後,8週後に行い,測定項目は膝伸展筋力,握力,超音波エラストグラフィによる腓腹筋筋硬度,Timed Up and Go Test(TUG),片脚立位時間,5m通常・最大歩行時間とした。膝伸展筋力はベルト固定可能なハンドヘルドダイナモメーター(ミュータスF-1;アニマ社製)を用い,筋硬度は超音波診断装置(AVIUS;日立アロメディカ社製)のストレイン・エラストグラフィモードを用いた。統計処理はSPSS21.0を用い反復測定分散分析およびBonferroni法によりプログラム開始前後に有意差があるか検討した。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>DSプログラムの8週間中1日1回の実施率は平均83.5±19.3%だった。膝伸展筋力はプログラム開始直前と比較し8週後で有意に増加した(p=0.02)。腓腹筋筋硬度は,プログラム開始直前と比較し4週後と8週後に有意に向上し(いずれもp<0.01),さらに4週後よりも8週後が有意に向上した(p=0.03)。TUGはプログラム開始直前と比較して8週後に有意に所要時間が減少した(p=0.02)。5m最大歩行時間はプログラム開始直前と比較し4週後および8週後に有意に所要時間が減少した(それぞれp=0.02,p=0.03)。握力,片脚立位時間,5m通常歩行時間においては統計的有意差がなかった。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>先行研究より膝伸展筋力は地域在住高齢者の生活範囲や転倒予防に,筋柔軟性は血管柔軟性などに関連があるとされている。8週間のDSプログラムを日常的に行うことは地域在住高齢者の健康増進に寄与する可能性が示唆された。</p>
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中澤 明紀, 佐竹 將宏, 木元 裕介, 岩澤 里美, 皆方 伸, 上村 佐知子, 塩谷 隆信
理学療法学 ( 日本理学療法士学会 ) 44 ( 6 ) 415 - 425 2017年
<p>【目的】急性期脳卒中患者の基本的姿勢における呼吸・循環反応を測定し,各姿勢の代謝を把握すること,脳卒中急性期の代謝の特徴を理解することを目的とした。【方法】急性期脳卒中患者31 名を対象に呼気ガス分析装置を用い,臥位,ヘッドアップ,端座位,車いす座位,立位の5 つの基本的姿勢での呼吸代謝を測定し,さらに回復期脳卒中患者と比較した。【結果】臥位,ヘッドアップ,端座位,車いす座位の各姿勢での呼気ガス指標には有意な差を認めなかった。一方で立位は他の姿勢よりも有意に高く,2.00 METs であった。すべての姿勢で呼気ガス指標は回復期患者群よりも有意に高かった。%REE は約132%であった。【結論】臥位,ヘッドアップ,端座位,車いす座位における代謝の違いはほとんどなく負荷量も高くなかったが,立位保持練習は身体負荷が高い可能性があり全身状態に留意する必要がある。急性期の代謝亢進は組織修復等による可能性が示唆された。</p>
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脳卒中片麻痺患者に処方された短下肢装具と患者自身が歩きやすいと考える短下肢装具についての検討
岩澤 里美, 佐竹 將宏, 河田 雄輝, 木元 裕介, 菊地 和人, 鈴木 瞭平
理学療法学Supplement ( 公益社団法人 日本理学療法士協会 ) 2016 ( 0 ) 2017年
<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>脳卒中片麻痺患者に処方される短下肢装具(AFO)には様々な種類があり,AFOを選択する際には,患者の意見を取り入れて決定することも多い。そこで本研究の目的は,脳卒中片麻痺患者に処方したAFOと患者が最も歩きやすいと回答したAFOがどの程度一致するかを調べ,AFOを選択する際に患者の意見がどの程度参考になるかを調査した。</p><p></p><p></p><p></p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象は,2014年6月から2015年10月までに当センターに入院した脳卒中片麻痺患者で入院中にAFOを処方された43名であった。性別は男性31名,女性12名,平均年齢は63±11歳,診断名は脳梗塞18名,脳出血23名,脳挫傷2名であった。</p><p></p><p>方法は,対象者に対して裸足と5種類のAFO(オルトップAFO<sup>Ⓡ</sup>,オルトップAFO<sup>Ⓡ</sup>-LH,オルトップAFO<sup>Ⓡ</sup>-LHプラス,靴べら型短下肢装具,底屈0°固定・背屈遊動に設定したTAPS)をランダムに装着し10m最大歩行を測定した。その際にどのAFOを使用した際に最も歩きやすかったかを聴取した。また得られた回答と処方したAFOが一致した群(一致群)と異なった群(不一致群)に分類し年齢と身体機能に違いがあるかを検討した。身体機能は感覚(触覚・位置覚),下肢Br.stage,体幹下肢運動年齢,FIM運動項目,FIM認知項目を測定した。統計解析にはSPSS ver.19を用い,対応のないt検定,Mann-WhitneyのU検定を行った。</p><p></p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>処方されたAFOと得られた回答が一致した者は24名(一致率60%),不一致だった者は19名であった。不一致群が最も歩きやすいと回答したAFOが,処方されたものより制動力が弱いAFOだった者は14名,制動力が強いAFOだった者は2名,どのAFOが良いか分からないと回答した者は3名であった。</p><p></p><p>年齢は一致群63±10歳,不一致群65±12歳,触覚は一致群7±3,不一致群6±3,位置覚は一致群8±3,不一致群8±4,下肢Br.stageは一致群で中央値IV,不一致群で中央値IV,体幹下肢運動年齢は一致群24.9±10.5ヵ月,不一致群29.7±14.3ヵ月,FIM運動項目は一致群66±15点,不一致群69±19点,FIM認知項目は一致群28±5点,不一致群32±17点であった。一致群と不一致群ではどの項目も有意な違いが認められなかったが,体幹下肢運動年齢は一致群に比べて不一致群で高い傾向にあった。</p><p></p><p></p><p></p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>処方されたAFOと対象者が最も歩きやすいと答えたAFOとの不一致率は40%と高く,多くの者は処方されたAFOよりも制動力が弱いAFOを選択していた。患者の意見には少しでも小さなAFOを使用したいという願望が含まれている可能性がある。したがってAFOを選択する際には患者と十分に話し合うことが必要であり,さらに適応するAFOを見極める専門家としての能力を十分に身に付けることが必要である。</p>
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3軸加速度計の体幹加速度を用いたCOPD患者の歩行時のバランス能力評価
照井 佳乃, 岩倉 正浩, 川越 厚良, 大倉 和貴, 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 佐竹 將宏, 塩谷 隆信
日呼ケアリハ学誌 27 59 - 64 2017年