MISC(査読の無い研究業績) - 佐藤 猛
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<書評>薮本将典「自治都市トゥルーズにおける上訴制の確立とカペー朝期親王領政策の諸相―上訴裁判権をめぐる執政官府と伯代官の抗争を中心に-
佐藤 猛
法制史研究 ( 法制史学会 ) ( 63 ) 296 - 298 2014年03月
総説・解説(その他) 単著
中世盛期のフランス王国では、法学を修得したレジストがローマ皇帝の立法権に関する法文(Princeps legibus solutus est: D. 1. 3. 31; Quod principi placuit legis habet vigorem: D. 1. 4. 1. pr.)を自身のカペー王権にも援用し、国王立法権の確立を目指していた。トゥルーズ伯領におけるその実態解明を目指した本論文は、論旨および先行研究との差異について、より明示的な説明が必要な箇所を残しているものの、中世フランス王の立法権形成という複雑な問題を理論と実践の両面から解明しようとしている。これをきっかけに、一三世紀に発展の緒についた国王立法権について、南仏とは法的伝統が異なる他地域に関しても実態解明が進むことを期待して、書評とした。
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<書評>朝治啓三・渡辺節夫・加藤玄編『中世英仏関係史1066-1500:ノルマン征服から百年戦争終結まで』創元者、2012年
佐藤 猛
西洋史学 ( 日本西洋史学会 ) ( 248 ) 57 - 59 2013年03月
総説・解説(その他) 単著
中世の英仏関係を二部15章から論じた本書について、各章の検討を検討したのち、全体的な問題設定と仮説に関して、論評した。本書が打ち出す「帝国的権力構造」という分析概念については、概念規定の不十分さを指摘することができる一方で、英仏関係を地域や論点を絞って論じた論考については、このテーマの深まりを指摘することができ、今後も王や王国よりも下位のレヴェルから英仏関係を論じる必要性を論じた。
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<書評>城戸毅『百年戦争―中世末期の英仏関係―』刀水書房、2010年
佐藤猛
歴史学研究 ( 歴史学研究会 ) 889 52 - 55 2012年02月
書評,文献紹介等 単著
英仏百年戦争(1339~1453年)に関する我が国初の本格的研究書である城戸毅『百年戦争―中世末期の英仏関係―』刀水書房、2010年について、歴史学研究会の依頼に基づいて執筆した書評である。百年戦争を経て「フランス」と「イングランド」が明確に別個の国家として歩みだしたとする視点は、戦後の欧米学界において提唱されて以来、我が国でも理論的には知られていても、これまで掘り下げて検証されることはなかった。この問題を緻密な実証を通じて明らかにした研究であることに本書の意義を指摘しつつも、個々の事件と英仏分離のつながりに関する具体的な説明を求めるとともに、権力関係や制度の分析に対して”国民意識”という視点の必要性を提起した。
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<新刊紹介>Frédéric F. MARTIN, Justice et Législation sous le règne de Louis XI : La norme juridique royale à la veille des Temps modernes, Paris, Fondation Varenne, 2009, 550p., €45.
佐藤猛
西洋中世研究 ( 西洋中世学会 ) 3 196 - 197 2011年12月
書評,文献紹介等 単著
フランスにおける最初の近代的な王であるルイ11世期における王権と法の関係を扱ったFrédéric F. MARTIN, Justice et Législation sous le règne de Louis XI : La norme juridique royale à la veille des Temps modernes, Paris, Fondation Varenne, 2009, 550p., €45.の書評である。一般的に解かれてきた、正義の配分者から立法者という王権の発達過程を再検討した大著として、我が国学会に紹介した。
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14~16世紀フランスにおける国王裁判権―「絶対王政」の確立を視野に―
佐藤猛
『中世ヨーロッパにおける権力構造とアンデンティティー複合』(平成18年度~平成20年度科学研究費補助金(基盤研究(B)研究成果報告書 研究代表者 渡辺節夫) 2009年03月 [依頼有り]
研究発表要旨(全国大会,その他学術会議) 単著
中世末期フランス王国における王の下への公権力の集中について、パリ以外の地への高等法院設立を通じて再検討した。その結果、当時の王権が国王裁判権の発動領域の拡大、つまりは集権化と同時に、王国住民のパリからの自立化が進行したことを明らかにした。
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“遊び”をおさえて“学び”の場へ―カードゲームOhne Furcht unt Adel, Hans im Gluck―
佐藤 猛
18特色GP体験セッション&シンポジウム2008「デジタルゲームを教室へ―『遊び』と『学び』のハーモニー―」 159 - 161 2009年03月 [依頼有り]
総説・解説(その他) 単著
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<新刊紹介>高橋清徳『国家と身分制議会―フランス国制史研究―』東洋書林、2003年
佐藤 猛
史学雑誌 ( 史学会 ) 114 ( 11 ) 129 - 130 2005年11月
書評,文献紹介等 単著
中世後期のヨーロッパでは、身分制議会が発達し、フランス王国においては全国と地方の各レヴェルで、聖職者・貴族・平民の3つの身分からなる三部会が展開した。このうち地方三部会を中心に研究を蓄積されてきた高橋氏の論文集を紹介した。
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博士論文(要旨):中世末期フランスにおける王権と諸侯権―王国の統合プロセスに関する一考察―
佐藤 猛
北海道大学大学院文学研究科研究論集 ( 北海道大学大学院文学研究科 ) ( 5 ) 393 - 395 2005年06月
総説・解説(大学・研究所紀要) 単著
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<新刊紹介>Marie-Thérèse Caron, Noblesse et pouvoir royal en France, XIIIe –XVIe siècle, Paris, Armand Colin, 1994, 349p
佐藤 猛
西洋史論集 ( 北海道大学大学院西洋史研究室 ) ( 2 ) 61 - 69 1999年03月
書評,文献紹介等 単著
13世紀末以降のフランス王国では、イングランドとの半永続的な戦争下で、国家的システムが胎動する。この局面における貴族層の多様な変化を取り上げた本書に関して、諸侯権力の展開を中心に紹介した。この時期の諸侯は、研究上、古くから地元に根を張る在来諸侯と、王家出身者の親王諸侯に区分される。双方とも王家ないし王権との距離を多様に取りつつ、王から半独立的な領国支配を展開し、それは近世以降の王国における地方形成に重要な意義を果たしたと考えられる。