研究等業績 - ⼤学,研究機関紀要 - 松本 奈緒
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事後指導における教育実習の省察(リフレクション)―保健体育教諭免許状取得希望者の実習全体で学んだことと研究授業への着眼点を中心として―
松本奈緒
教育文化学部研究紀要 69 43 - 60 2014年03月 [査読有り]
研究論文(大学,研究機関紀要) 単著
本研究では教育実習生(保健体育教諭免許状取得希望者)が教育実習についてどのような点について省察したのか、教育実習後の事後指導を通じて実習生が省察活動の中で記入した内容を分析することから明らかにした。研究の結果、以下の点が明らかとなった。
1.教育実習生は教育実習全体に対し、積極的に笑顔で明るく、指導案通りに授業を行え、指導によって出来るようになった生徒に喜びを感じ、生徒のレベルに合い興味・関心を引くような教材研究が工夫でき、担当教官と十分に授業について話し合え、積極的にじっくり生徒とコミュニケーションを行い、実習先の教師と十分にコミュニケーションを行い、授業外の業務や部活動指導を積極的に行えたことに対して手ごたえ(肯定的な省察)を感じたことが明らかとなった。一方で、マネージメントの点で指示・説明が通らないこと、教材研究の点で時間の不足、指導内容の絞り込み、知識不足、生徒とのコミュニケーションの点で時間がかかる、個人差、距離感が近すぎる、教師としての姿勢の点で想定外の生徒への対応不足、規範的な行動の不足、不真面目な生徒への注意不足等の反省点があった。
2.教育実習生は教育実習期間中に実施した体育の研究授業に対して以下の点で省察できた。授業の前提条件として安全の配慮、学習規律や服装、教師としての姿勢に対して、指導技術と生徒との関わりとして伝え方、話す技術、助言・アドバイス、発言へのコメント、言葉だけでない動作での指導・関わり方、学習者の立場に立たない発言、教材・授業づくりとして時間配分、進行の仕方・学習過程、効果的な場づくり、教材の難易度設定、教材へのより深い知識・理解、指導の焦点、学習者の目標設定、できない生徒への配慮、生徒理解と感情の共有として個人差、行動の理由、指示以外の行動、感情の共有、気持ちの理解、である。
3.教育実習生は教育実習期間中に実施した体育の研究授業において、整列、服装、話を聞く時の注意等のマネージメントの不足、補助のしやすさから無理なアドバイスを行い生徒が怪我をしたこと、技の見本について生徒の期待を失わせる発言を行ったり的確な技へのアドバイスを行えなかったこと、補助をする場を設けたら想像以上の生徒が集まり効果的な学習が行えなかったこと、認知を促進する指導や声掛けについて工夫をしているが活動に従事しない生徒が出てしまったことを体験した(エピソード)。このことから、マネージメント、適切なアドバイスの重要性、教師としてあるべきスタンス、想定外の生徒の行動への対処、生徒を退屈させない展開の工夫について反省を行い次への課題設定を行うことができた。 -
男女必修化時代の中学校ダンス実施の現状と指導者の問題意識―秋田県中学校保健体育教諭の研修レポートを参考として―
松本奈緒・寺田潤
秋田大学教育文化学部研究紀要 教育科学部門 68 ( 4 ) 25 - 34 2013年03月
研究論文(大学,研究機関紀要) 国内共著
本研究の目的は、秋田県中学校のダンスの実施と本領域を指導する上での指導者の問題意識について明らかにすることである。46人の中学校体育教諭のレポート回答から、28校のカリキュラム計画例と指導者の問題意識に関する86の記述が得られた。中学校のカリキュラム計画実施の現状から、フォークダンス、リズムダンス、創作ダンスが全体的にバランスよく実施されていることが分かった。中学校段階で人気があるといわれているリズムダンスについては、比較的実施割合が多いものが40%、1学年から3学年までリズムダンスのみの実施の学校は3校であり、実施についてそれほど顕著であるとはいえなかった。単元計画の平均時間は9時間か10時間であり、最小6時間から15時間までであった。指導者の問題意識については、86記述を質的方法で分析した結果、環境、計画、実施、教師の問題、生徒の問題、作品づくりの限界、クラス条件の限界、評価、その他に分類できた。この研究から、教師の知識や指導経験不足、生徒の反応への適切な指導法の欠如、生徒の恥ずかしさ、生徒の表現能力の不足、ダンスの特徴を考えるための評価の技能や視点が十分でないこと等、多様な問題が明らかとなった。
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秋田の盆踊りの学習における学習者の認知研究―デジタルコンテンツを用いたダンス学習での自主的学習における学習者の認知の変化―
松本奈緒
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 ( 34 ) 57 - 70 2012年05月
研究論文(大学,研究機関紀要) 単著
本研究では、学習者の認知に着目し、自主的学習を促進するデジタルコンテンツを用いた秋田の盆踊りの学習において、学習者の認知の特徴と変化について明らかにすることを目的とした(対象は大学生)。方法については、数学科教育の分野でメタ認知を促進するために用いられたふきだし法(亀岡,、1992;1996)を体育科教育分野に応用し、学習者が盆踊りを学習する際の認知を測る調査法として用い、ふきだしに学習者が記入した自由記述データをカテゴリー化しマッピングすることを行った。抽出したデータは全335回答であり、1時間目は84回答、2時間目は52回答、3時間目は84回答、4時間目は115回答であった。1時間目には、動きの特徴を客観的に述べる記述(36回答)、DVDで学習した衣装・装束について(8回答)盆踊りの一般的知識について(6回答)の認知記述が多く、2時間目には動きの特徴を客観的に述べる記述(17回答)だけでなく、動きのポイントや特徴を意識する認知記述が(31回答)増えた。さらに3時間目、4時間目には動きのポイントや形容詞や動詞などで動きを意識する認知記述(3時間目は48回答、4時間目は72回答)が増え、3時間目よりも4時間目の方が学習者がより詳細な動きの特徴を抽出し意識できていることが明らかになった。このことから、本実践により、学習者の認知カテゴリーは学習が進むにつれて多種になり、動きを客観的に捉えることから、運動の行為者として一人称で運動を捉え、詳細にわたって動きを意識し運動のポイントを整理できるように変化したことが分かった。
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保健体育科教育学概論Ⅱにおける授業の工夫―専門職就業への意識づけとディスカッションを通じた学習者の知識体系構築を目指して―
松本奈緒
教育文化学部研究紀要教育科学編 67 ( 1 ) 1 - 8 2012年03月
研究論文(大学,研究機関紀要) 単著
担当授業である保健体育科教育学概論Ⅱの授業において、授業改善を行い学生の意見と評価をアンケート調査紙法により明らかにした。授業内容は保健体育科教育学の知識、保健体育科教諭としての仕事内容等の講義、目指す体育教師像をKJ法により概念図化するグループワーク、附属中学校の保健体育科教諭をゲストティーチャーを招いた講義、講義内容に関するディスカッションと3つのキーワードによる発表、中間テスト等であった。この授業方法の内、学生の評価が最も高かったのはゲストティーチャーによる講義、ディスカッションやグループワークであった。
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Motion Saliencyに基づく舞踊動作の拍節構造の推定
三浦武・海賀孝明・松本奈緒・桂博章・田島克文・玉本英夫
じんもんこん2011人文科学とコンピュータシンポジウム論文集 2011 ( 8 ) 191 - 198 2011年12月 [査読有り]
研究論文(大学,研究機関紀要) 国内共著
本研究は磁気式モーションキャプチャデータを分析し、モーションデータの突出性(saliency)に着目し、リズムの強弱を抽出することで各舞踊毎の拍節構造を分析する方法を開発した。この方法を用いて、チャールストン、西馬音内盆踊り、サルサ、インド舞踊を解析し、チャールストン、西馬音内盆踊り、インド舞踊においては拍節構造が抽出できたが、サルサにおいては明確な構造が抽出できなかった。
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デジタルコンテンツを活用した秋田の盆踊りの学習-モーションキャプチャー技術を応用したDVDを用いて-
松本奈緒
秋田大学教育文化研究紀要 65 57 - 65 2010年03月
研究論文(大学,研究機関紀要) 単著
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体ほぐしの運動における交流に関する研究―活動を通しての抽出児の変容を中心として―
松本奈緒・熊谷青士・平野真
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 31 32 - 45 2009年05月 [査読有り]
研究論文(大学,研究機関紀要) 国内共著
本研究は体育の体ほぐしの運動についての交流に関する事例研究である。小学校6年生対象の全6時間構成の活動を行い、通常の体育の授業においてコミュニケーションの取り方に特徴のある4人の子どもに着目し研究を行った。研究の方法としては質的研究の手法を用いた行動観察、アンケート調査紙法、インタビューを併用して事例をまとめている。本研究によって以下のことが分かった。①体育が嫌いと答えている2つの事例では体ほぐしの運動に対して積極的に取り組み、運動を介して仲間と交流することで体育に対してのイメージが肯定的に変化した。②体育が好きと答え、競争志向の高い1つの事例では活動時に非従事行動が多くみられ、男女の区別なく交流することや身体接触を伴う活動行うことに対して拒否感を示した。③体育が好きと答えるている1つの事例では、事後調査で体ほぐしの運動や男女の区別なく交流することについて肯定的に回答しているが、活動時の行動観察をみると、活動とは異なる課題に従事し、異性と手をつなぐこと等を意識的にさけている様子が観察できた。
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小学校における「体ほぐしの運動」の授業に関する事例的研究―教材のねらいを実現する指導方法の探求―
松本富子・小松崎敏・金子直子・松本奈緒
群馬大学教育実践研究 ( 21 ) 173 - 194 2004年03月 [査読有り]
研究論文(大学,研究機関紀要) 国内共著
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筑波大学における体育教師教育カリキュラムおよび指導法の検討:「体育授業理論Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」の授業展開
長谷川悦示,岡出美則,高橋健夫,萩原武久,米村耕平
筑波大学体育科学系紀要 26 69 - 85 2003年03月
研究論文(大学,研究機関紀要) 国内共著
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小学校における「体ほぐしの運動」の授業に関する事例的研究-特に「気づき」と「交流」のねらいを実現するための教材の探求-
松本富子,小松崎敏,金子直子,松本奈緒
体育の科学 30 115 - 126 2003年03月
研究論文(大学,研究機関紀要) 国内共著