Research Achievements - Introduction and explanation -
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【認知症と睡眠をめぐって】 高齢者の睡眠障害
三島 和夫
老年精神医学雑誌 ( (株)ワールドプランニング ) 28 ( 4 ) 335 - 340 2017.04
Introduction and explanation (scientific journal)
高齢者の睡眠障害は臨床場面で最もよく遭遇する症候のひとつであり,慢性経過をたどるケースが多く,患者の社会機能や生活の質(QOL)を大きく低下させる.高齢者でみられる睡眠障害は多様である.最も頻度が高い訴えは不眠であるが,不眠症状があることイコール不眠症ではない.とくに高齢者の場合には睡眠薬が第一選択薬となる原発性不眠症は不眠患者の一部にすぎないことをたえず念頭におく必要がある.高齢者の睡眠障害の背景には睡眠の深度や持続性が減少するなど生理的な加齢変化に加えて,さまざまな心理・社会・生物学的要因が存在する.そのため睡眠薬などの催眠鎮静系の向精神薬による薬物療法だけでは症状が改善しないことも少なくない.環境調整や心理療法も含めた治療アプローチが必要である.また高齢者では向精神薬の副作用が出やすいため,薬物療法を行う際にはたえずrisk-benefit balanceを考慮する必要がある.睡眠衛生指導などの非薬物的アプローチを適宜取り入れる必要がある.(著者抄録)
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【メンタルヘルス研究と社会との接点】 ウェアラブルデバイスとオンライン診断システムを活用した睡眠医療の社会実装
三島 和夫
精神保健研究 ( (国研)国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 ) ( 30 ) 37 - 41 2017.03
Introduction and explanation (scientific journal)
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【睡眠科学の新潮流】 不眠症の薬物療法
三島 和夫
医薬ジャーナル ( (株)医薬ジャーナル社 ) 53 ( 2 ) 623 - 629 2017.02
Introduction and explanation (scientific journal)
不眠症治療のコンプライアンスやアドヒアランスを高めるためには[睡眠薬をどう使うか]という治療の入口だけではなく,[睡眠薬をどう止めるか],[必要ならばどう安全に長期使用するか]という二つの出口を見据えた不眠症の治療戦略(クリニカルパス)を患者に示す必要がある.選択薬剤の基準は長期使用時の安全性を最優先にし,薬物療法と睡眠習慣指導をバランス良く併用する.不眠の原因が取り除かれて,不眠症状とQOL(quality of life)障害の両面が改善する寛解状態が8週間程度持続したら,減薬・休薬を試みる.不眠症患者の一部では,長期服用のベネフィットがリスクを上回り,許容される臨床例が存在する.その場合,可能な限り副作用リスクの低い薬剤を選択し,安全性に関する十分な説明とフォローアップを行うことが必要である.(著者抄録)
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【鑑別しにくい精神症状や行動障害をどう診分けるか】 [眠れない]を診分ける
三島 和夫
精神科治療学 ( (株)星和書店 ) 32 ( 1 ) 41 - 46 2017.01
Introduction and explanation (scientific journal)
不眠症状は精神疾患に起因するものだけに限らず,さまざまな睡眠障害に共通して認められる.そのため鑑別診断で最も大切なことは不眠症(原発性不眠症,精神疾患に起因する不眠)以外の睡眠障害を適切に鑑別診断することである.各種睡眠障害に特徴的な臨床症状を丁寧に聴取し,睡眠日誌を記載させ,必要に応じて夜間睡眠ポリグラフ試験や反復入眠潜時試験などを併用して,確定診断と重症度の判定を行う.(著者抄録)