研究等業績 - 原著論文 - 本谷 研
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秋田県およびその周辺における2023-24年冬季の積雪の特徴
本谷 研
東北の雪と生活 ( 公益社団法人日本雪氷学会東北支部 ) ( 30 ) 31 - 34 2024年11月 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 単著
秋田県およびその周辺を含む東北6県の2023-24年冬季は,冬型の気圧配置が持続しなかったことと2月の暖気の流入により,気温はかなり高く,降雪もかなり少ない傾向だったことが積雪分布やその季節変化からも確かめられた.このため,主に平地に位置する秋田県内の積雪観測アメダスにおける積雪も平年と比べ極めて少ない傾向で推移し,雪解けもひと月近く早い時期となった.東北6県全体で合計した積雪水量は2月下旬と3月中旬に2つのピークを持つ季節変化となり,最大となったのは平年より遅い3月14日で,その値は14.39km3=14.39Gtに留まった.
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秋田県およびその周辺における2022-23年冬季の積雪の特徴
本谷 研
東北の雪と生活 ( 公益社団法人日本雪氷学会東北支部 ) ( 38 ) 58 - 61 2023年11月 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 単著
東北6県の2022-23年冬季は,初冬(12 月~翌1 月)に冬型の気圧配置や上空への寒気流入のため低温で降積雪が多い傾向であったこと,このため秋田県では,沿岸部では積雪が少なく内陸ほど平年よりも積雪が多い傾向であり,特にこの傾向は内陸北部で強かった(大館・鹿角周辺で大雪傾向であった).
その後,3 月以降は気温が上がり,急激な融雪が進んだため,雪解けの早かった2020-21 年冬季を上回る急速な雪解けとなっ
た.この兼合いにより,東北6 県全体で合計した積雪水量のピークは平年並みの時期(2/26)に生じ,24.88km3=24.88Gt程度となった. -
東北6県周辺における2021-22年冬季の降積雪の特徴
本谷 研
東北の雪と生活 ( 日本雪氷学会東北支部 ) ( 37 ) 7 - 10 2022年11月 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 単著
2021-22 年冬季は,北海道の札幌では記録的な大雪となり数日にわたる交通障害が生じた.
秋田県内では 12 月以降の冬の初めに県北や県央内陸部で早くから多くの降雪がもたらされた.
秋田県南では積雪は年始頃まで平年よりも少ない程度であり,2022 年 1 月以降に徐々に積雪が増加して平年以上となったものの,2020-21 年冬季程には増えなかった.
こうした 2021-22 年冬季の降積雪の推移と分布傾向について,ルーチン気象データと診断型積雪水量分布モデルや snowsurvey,気象資料により考察した.
2021-22 年冬季に東北 6 県の北ほど平年より降積雪が多い傾向となったのは,(1)日本海北部付近を中心とする寒冷渦がみられたこと, (2)日本海北部の表面水温が高かったこと,により低気圧活動が日本海北部で盛んだったためと考えられた. -
診断型積雪モデルを応用した東北6県における積雪水量分布の準リアルタイム再現システムの試み
本谷 研, 平島寛行, 佐野浩彬, 河島克久
東北の雪と生活 ( 日本雪氷学会東北支部 ) ( 35 ) 42 - 45 2020年12月 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 国内共著
積雪深ベースのデータベースでは、平地や道路沿いの積雪深計による積雪分布はどうしても山岳などの標高の高い領域での積雪分布推定に難があるほか,こうした積雪深分布に基づいた積雪荷重分布推定も同様の問題があるうえ,気象庁の解析積雪深・降雪量分布も同様の同化積雪深データの偏在による問題と領域モデルの制約により細かな地形を反映することは難しい.これを解決する手段として,ルーチン気象データを入力としながら気象要素の高度分布も考慮することで山岳などの高標高領域の積雪水量も推定可能な診断型積雪分布モデル (Motoya et al., 2001; 本谷, 2008) にデータの自動取得などの機能を追加して,東北6県における前日までの毎日・1km 四方平均の積雪水量分布を準リアルタイムで再現した.
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東北6県における2019-20年冬季の降積雪の特徴-過去40冬季で最小となった雪水総量-
本谷 研, 平島寛行, 佐野浩彬, 河島克久
雪氷北信越 ( 日本雪氷学会北信越支部 ) ( 40 ) 17 - 19 2020年09月
研究論文(学術雑誌) 国内共著
ルーチン気象データと診断型積雪水量分布モデルを用いて、2019-20年冬季における東北6県の降積雪分布と領域合計の積雪水量(雪水水量)およびその季節変化を計算した。2019-20年冬季は冬型が持続せず、記録的な暖冬・寡雪となり、モデルにより推定した東北6県全体の積雪水量合計(=雪水総量)は過去40冬季で一番少なかったことが分かった。
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本谷 研
東北の雪と生活 34 40 - 43 2020年03月 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 単著
よく知られているように降積雪現象は空間的にも時間的にも変動が大きい自然現象で,いわゆる雪国であっても積雪量の年々変動は極めて大きい.例えば東北の秋田県付近に注目すると,平成 18 年豪雪で県央・県北で大雪になった以降しばらく暖冬・寡雪の気候が続いたのち 2010-11 から 2014-15 年冬季まで 5 冬季連続で雪が多い傾向が続いた.その後,2015-16 年冬季は全国的な暖冬で暖冬・寡雪傾向となったが,2016-17 年冬季は山間部での積雪はやや少ないものの,東北地方日本海側の多くで平年並みの積雪となった.続く 2017-18年冬季は強い寒気の流下が頻発するとともにラニーニャ傾向によるものか低気圧の発生・発達が多く,東北地方日本海側では沿岸・平地も含め多雪となった. しかし,2018-19 年冬季は暖冬傾向で多くの地域で降雪量も平年を下回ったが,秋田県南内陸部などでは降水量は平年よりやや多く,平年以上の積雪量であった.こうした 2018-19年冬季の降積雪の推移と分布傾向について,ルーチン気象データと診断型積雪水量分布モデルや気象資料により考察したので紹介する.
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全層平均積雪密度サンプラー用雪落ち防止シールの検討
松本和之, 本谷研
雪氷研究大会(2019・山形)講演要旨集 207 - 207 2019年08月
研究論文(学術雑誌) 国内共著
全層平均積雪密度の測定は雪氷学的な測定の基本であるが、雪質によってはサンプラーでの採取そのものが難しく、全層サンプラー先端での雪落ちや筒内での凍着などの問題を引き起こす場合がある。こうした問題を軽減するためにサンプラー先端での雪落ち防止の工夫について検討を行った。
全層平均積雪密度サンプラー先端筒内に安全用品の滑り止めシールを接着し積雪サンプルの脱落防止とすることで、雪ベラなしの場合でもかなり安定して新雪やザラメ雪の採取が可能になることがわかったので報告する。 -
蔵王の樹氷(アイスモンスター)(1) -水素・酸素同位体比を用いた樹氷を構成する水の起源解析-
吉原 美咲, 今野 七星, 谷 柚希, 後藤 健太, 本谷 研, 赤田 尚史, 柳澤 文孝
雪氷研究大会(2019・山形)講演要旨集 228 - 228 2019年08月
研究論文(学術雑誌) 国内共著
樹氷を構成する氷について、これまで日本海の海水が起源であるとされてきた。しかし、実際には樹氷の氷の起源についての研究がなされたことはなかった。本研究では樹氷を構成する氷の水素・酸素同位体を測定すると共に、気象衛星画像等を用いて水の起源について検討した。冬型気圧配置の場合の水の起源は、日本海または黄海北部であり、南岸低気圧型の場合の水の起源は、黄海南部、南シナ海または太平洋であることが分かった。
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積雪重量分布情報「雪おろシグナル」の精度向上に向けた試み
平島 寛行, 本谷 研, 河島 克久, 佐野 浩彬, 伊豫部 勉
雪氷研究大会(2019・山形)講演要旨集 258 - 258 2019年08月
研究論文(学術雑誌) 国内共著
雪氷災害は日本全国で毎年100名前後の犠牲者を出しているが、そのうち屋根雪処理中の滑落等、除雪中の事故は半数以上にのぼる。屋根雪対策の1つに、効率的な雪下ろしの判断基準となる参考情報の提供があるが、それには屋根雪荷重の見積りが有用である。そのような情報の提供を目的として、新潟大学の準リアルタイム積雪分布監視システムで収集された積雪深と積雪変質モデル(SNOWPACK)を用いて積雪重量分布を計算して公開するシステム「雪おろシグナル」を開発した。雪おろシグナルは観測された積雪深に合う降雪量になるようにデータ同化を行って積雪重量を計算するため、密度が正しく計算されていれば積雪重量が正確に計算される。そのため雨雪判別や融雪量、捕捉率の誤差の影響が積算されやすい降水量から計算する方法より精度が高いことが確認されている。しかしながら、積雪深の観測されていない場所で補正して計算することは困難で、また細かいメッシュで多量の計算を行うにはSNOWPACKでは時間がかかりすぎる問題がある。一方、降水量を入力して計算する手法は単純なモデルで積雪重量が計算できるため計算時間が短く、標高補正や降水量補正を行ってメッシュで計算して分布を作成することが容易であるといった利点がある。本研究では、雪おろシグナルの積雪深観測地点以外における精度を向上させることを目的として、特定地点における精度が高い雪おろシグナルと、簡易な診断型積雪分布モデルを用いた1kmメッシュの積雪重量分布の双方のデータを用いて、それぞれの長所を生かす形でのデータの融合を試みた。
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ルーチン積雪深と積雪水量モデルに基づく秋田県内の全層積雪密度の解析
本谷 研, 河島克久,松元高峰,伊豫部勉
日本雪氷学会東北支部「東北の雪と生活」 ( 32 ) 9 - 14 2017年12月 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 国内共著
積雪の量を積雪深で表すか,積雪水量(重量)で表すかは古くからの問題であるが,両者を換算するには現実の雪質や粒径,層構造を考慮して合理的に全層積雪密度を推定することが必要になる.しかし,積雪密度を地上気温や地上風速および降雪強度などの気象要素から推定する試みはこれまでにも多くなされているものの,そのほとんどは新積雪(降雪)の密度に関するもので,積雪荷重設計などに実用上用いられる全層積雪密度としては,依然として,その季節変化を考えずに300kg/m3 程度の概略値が用いられる場合がほとんどである.このため,降雪頻度が異なる時期においても積雪深と積雪水量(重量)の換算ができるような,地点毎・季節毎の全層積雪密度が推定できれば,積雪深からより現実的な積雪荷重を推定できるほか,水量ベースの積雪スラブモデルを積雪深データから検証するなどが可能になるので大変便利である.本研究では,秋田県およびその周辺について,複雑な積雪層構造モデルを用いずとも,アメダス地点における積雪深データと診断型積雪モデルとを組み合わせることによって,秋田県内の積雪観測アメダスにおけるより現実的な全層積雪密度の平年値(30 年平均値)およびその季節変化を逆算的に求めた.
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積雪深データと診断型積雪モデルによる秋田県内積雪観測アメダスにおける全層積雪密度の季節変化の解析
本谷 研, 河島克久,松元高峰,伊豫部勉
日本気象学会2017年度秋季大会講演予稿集 ( 112 ) 308 - 308 2017年10月
研究論文(学術雑誌) 国内共著
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安井ゆい,本谷研
東北の雪と生活 ( 31 ) 11 - 16 2016年10月 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 国内共著
国土のおよそ半分が豪雪地帯である日本では,様々な雪氷災害が発生するが,その中でも吹雪による災害は毎年後を絶たない(例えば,根本ら,2013).このような吹雪による被害を軽減し,冬季も道路を安全に利用するために,降雪量が多い東北地方においても,吹雪やそれによる視程障害などをできる限り防ぐことが重要になる.そこで本研究では,できるだけ簡素な方法で吹雪発生の有無を推定することを目指して,空間代表性を考慮した気象データ(気温,風速)と吹雪発生の有無との関係について調べた.松沢・竹内(2002)を参考に本研究では,吹雪の発生の有無と気温,風速との関係を調べた.つまり秋田県北部の国道7 号線沿いの4 地点(天瀬川,琴丘,安戸六,能代南IC)と他2地点(二ツ井,常盤)の計6 地点に自動撮影の観測カメラを設置し,吹雪の発生を監視すると同時に,国道7号線沿いに道路管理のため設置されているライブカメラの気象情報と,気象庁のアメダスの気象情報も用いて,観測カメラで吹雪発生が確認できた日時における気温と風速の対応を調べた(安井・本谷,2015).本研究では,前述全6 地点についてライブカメラやアメダスの風速と現地風速の対応を向上させるため,風速観測地点周辺の地表面における空気力学的粗度を考慮し,地域代表風速(地上50m 風速)を求めてから吹雪カメラ周辺(積雪面上)の粗度を考慮してその風速を推定したほか,使用す
るアメダスデータの追加や事例を増やした解析を行ったので報告する. -
簡素な積雪水量モデルを応用したrain-on-snowイベントの検出-2015-16年冬季の場合-
本谷研
雪氷研究大会(2016・名古屋)講演要旨集 70 - 70 2016年08月
研究論文(学術雑誌) 単著
降雪・積雪・融雪過程を表すモデルは数多くあり,どのような目的で用いられるかによって,複雑な積雪の変質過程を層構造毎に細かく計算するモデルから積雪を単層で表し全層での水量(重量)に注目するスラブモデル,あるいは最も単純に融雪量を見積るdegree-day法などが使い分けられている.このうち,水収支の議論や,簡便に積雪重量(荷重)を見積る際には水量(重量)ベースの単層スラブ積雪モデルが便利である.しかし,診断型分布型積雪モデル(Motoya et al., 2001; 本谷, 2008)では,降水量をモデル内で気温および水蒸気圧に応じて雨・雪の判別を行い,雨(液体降水)であれば,そのまま直ちに土壌へ流入するように仮定している.今回暖冬・少雪傾向が顕著だった2015-16年冬季を例に,ルーチン気象データと診断型分布型積雪モデルを使って,秋田県周辺におけるROSに伴う液体降水がどの程度であるか見積もったので紹介したい.
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ルーチン積雪深データと積雪水量モデルを応用した全層積雪密度推定手法-秋田県内アメダスにおける検討-
本谷研,河島克久,伊豫部勉
雪氷研究大会(2016・名古屋)講演要旨集 244 - 244 2016年08月
研究論文(学術雑誌) 国内共著
積雪を積雪深で表すか,積雪水量(重量)で表すかは古くからの問題であるが,両者を換算するには合理的な全層積雪密度が必要になる.積雪密度を地上気温や地上風速および降雪強度などの気象要素から推定する試みは多くなされているが,そのほとんどが新積雪(降雪)の密度推定に関するもので,積雪荷重設計などの際の全層積雪密度としては300kg/m3程度の概略値が用いられる場合がほとんどである.このため,降雪頻度が異なる時期においても積雪深と積雪水量(重量)の換算ができるような,地点毎・季節毎の全層積雪密度が推定できれば,積雪深からより現実的な積雪荷重を推定できるほか,水量ベースの積雪スラブモデルを積雪深データから検証するなどが可能になり大変便利である.本研究では,秋田県およびその周辺について,複雑な積雪層構造モデルを用いずとも,アメダス地点における積雪深データと診断型積雪モデルとを組み合わせることによって、より現実的な全層積雪密度を逆算的に求めたので紹介する.
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東北地方における2014-15冬季の降雪季節の特徴~早く来た豪雪~
本谷 研,佐藤福美
東北の雪と生活 ( 30 ) 3 - 6 2015年09月
研究論文(学術雑誌) 国内共著