学会等発表 - 長岐 雄志
-
進行食道癌に対する術前治療+手術治療における腫瘍免疫原性が予後に与える影響とNACRTによる腫瘍免疫陽転化 (術後補助ICIへの期待)
長岐雄志, 佐藤雄亮, 脇田晃行, 笹森凌平, 佐々木吉寛, 高橋吏, 南谷佳弘
第124回日本外科学会定期学術集会 2024年04月 - 2024年04月
【緒言と目的】免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の効果予測には, 免疫原性(Hot tumor/Cold tumor)の評価が重要である. また化学療法や放射線療法がCold tumorをHot tumorに転換させるという報告がある. 本研究の目的は①食道扁平上皮癌(ESCC)の腫瘍免疫原性が予後と相関するか, ②術前化学放射線療法(NACRT)および術前化学療法(NAC)がそれぞれ免疫反応陽転化をもたらすか否かを明らかにすることである.
【方法】対象は2010-2018年, 当院で術前治療後に根治手術を施行した胸部ESCCの内, 術前治療前の生検組織標本が入手できた症例. レジメンはNACRT/NACともにFP/FGP療法, NACRTの照射は41.4Gy. Hot tumorの定義は既報に則り, 免疫染色でFOXA1, EYA2のいずれか一方でも陽性のものとした. 治療前後の腫瘍をHot tumorとCold tumorに分類し, 各群の予後, 腫瘍免疫陽転化について検討した.
【成績】NACRT99例, NAC14例, それぞれ年齢中央値: 64歳(41-75), 63歳(53-70), 女/男: 15/83例, 0/14例, cStageI/II/III/IV: 3(3)/15(15)/64(65)/17(17)例(%), 2(14)/3(21)/8(57)/1(7)例(%).
①NACRT群において治療前Hot tumorは29例(29%), 同Cold tumorは70例(71%). 5年疾患特異的生存率(DSS)は, 治療前Hot tumor(85%)は同Cold tumor(64%)よりも有意に良好だった(p=0.036).
②NAC群において治療前Hot tumorは9例(64%), 同Cold tumorは5例(36%). 5年DSSはHot tumor: 63%, Cold tumor: 40%で, 両群間で有意差は認めなかった(p=0.607).
③主病巣が残存した, NACRT68例, NAC14例における検討では, Hot tumorの割合はNACRT群で治療前20例(29%), 治療後51例(75%)と増加した一方, NAC群では治療前後ともに9例(64%)と増加しなかった.
【結論】NACRT+手術が行われたHot tumorの予後は良好で, NACRTは腫瘍免疫原性を陽転化させた. このことからNACと比較してNACRTは腫瘍免疫陽転化を引き起こしやすく, 術後補助ICIの効果を増強させる可能性が示唆された. 術後ICI補助療法におけるNACRTの位置づけは, より一層重要である. -
術前化学放射線療法の免疫反応性腫瘍における有効性と免疫反応陽転化促進(術後補助ICIへの期待)
Yushi Nagaki, 他
第78回日本消化器外科学会総会 (北海道函館市) 2023年07月 - 2023年07月
【緒言と目的】食道癌に対する免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の効果予測には, 免疫反応性腫瘍(Hot tumor)か否(Cold tumor)かの見極めが重要である. またICI治療前や併用時の化学療法や放射線療法がCold tumorをHot tumorに転換させるという報告がある. 本研究の目的は, 食道扁平上皮癌(ESCC)の免疫反応性が術前化学放射線療法(NACRT)の奏効や予後に関与するか, あるいはNACRTが免疫反応陽転化をもたらすかを明らかにすることである.
【方法】2010-2018年, 当院でNACRT後に根治手術を施行した胸部ESCC105例の内, NACRT前の生検組織標本が入手できた99例を対象とした. NACRTは照射療法41.4GyとFP(またはFGP) 2コースである. Hot tumorの定義は既報に則り、免疫染色でFOXA1, EYA2のいずれか, または両者ともに陽性のものとし、両因子とも陰性のものをCold tumorとした. 治療前後の腫瘍がHot tumorかCold tumorかに分類し, NACRTが免疫反応性に与える影響および腫瘍免疫関連予後について検討した.
【成績】年齢中央値:64歳(41-75), 女/男:15/83例, cT1/2/3/4:4/4/91/0例, cN0/1/2/3:11/58/29/1例, cM(No.104):14例, cStageI/II/III/IV:3/15/64/17例. ①治療前Hot tumorは29例(29%), 同Cold tumorは70例(71%). 5年疾患特異的生存率(DSS)は治療前Hot tumor: 84%, 同Cold tumor: 64%で, 治療前Hot tumorは同Cold tumorよりも有意に高かった(p=0.04). ②CRT grade2/3の割合は, 治療前Hot tumorで76%(22/29例), 同Cold tumorで67%(47/70例)であった(p=0.39). 治療前Hot tumor-Grade2/3, 同Cold tumor-Grade2/3, 同Hot tumor-Grade0/1, 同Cold tumor-Grade0/1の5年DSSはそれぞれ84%, 75%, 83%, 42%だった. 治療前Cold tumorかつCRT Grade0/1の症例の予後は不良であった. ③主病巣が残存した(Non-pCR)68例についての検討した. 治療前Hot tumorは20/68例(29%)だったのに対して, 治療後Hot tumorは51/68例(75%)と治療後はHot tumorの割合が増加した. 治療後Hot tumorの5年DSSは64%, 同Cold tumorは58%で, 有意な差は認めなかったものの, 治療後Hot tumor で良好であった(p=0.52).
【結論】Hot tumor はNACRTの奏功率が高く切除後の予後が良好であった. またNACRTによりHot tumorの割合が増加した。NACRTが腫瘍免疫を変えるだけでなく, 術後補助ICI療法の有効性を向上させる可能性が示唆された. -
当科における進行食道癌に対する術前治療+低侵襲手術の治療成績
長岐 雄志,佐藤 雄亮,脇田 晃行,佐々木 吉寛,米屋 崇峻,山田 宗玄,今井 一博
第37回日本内視鏡外科学会総会 2024年12月 - 2024年12月
【背景・目的】食道癌に対する低侵襲手術(胸腔鏡手術(MIE)およびロボット支援下手術(RAMIE))は急速に普及している.また, JCOG1109試験の結果より術前DCF療法が進行食道癌に対する標準治療となった. 当科での食道癌低侵襲手術症例における術前治療別の治療成績を解析し, その有用性を検証することを目的とした.
【方法】当科で2020年1月~2024年2月まで, 胸部食道癌, 食道胃接合部癌に対し術前治療後に低侵襲手術を行った54例を対象に治療成績を検討した.
【結果】術前CRT群(n=38)と術前DCF群(n=16)の臨床病期(規約12版) II/IIIA/IIIB/IVBは7/24/4/3例, 4/11/0/1例. 術式(RAMIE/MIE)は30/8例, 11/5例. 組織学的治療効果Grade1/2/3は8/18/11例, 13/3/0例と術前CRT群で有意に高かった(P<0.01). 一方で, JCOG1109 DCF群の19%に認めた完全奏効は本検討では得られなかった. 再発は11例(29%), 7例(44%), その内, 局所再発はCRT群では認めず, DCF群では2例で認めた(P=0.08). 再発までの期間は4(3-15)ヶ月, 7(3-18)ヶ月. 遠隔転移に限定した2年無遠隔転移生存率(DMFS)は63%, 66%, 2年OSは81%, 91%であった.
【結論】術前CRTより強力な全身治療である術前DCF療法においても,再発形式やDMFSに有意差は認めなかった. さらなる症例の蓄積とより長期のフォローアップが求められる. -
当科での術前治療+食道切除術+ニボルマブによる術後補助療法の治療成績
長岐 雄志, 佐藤 雄亮, 脇田 晃行, 笹森 凌平, 佐々木 吉寛, 高橋 吏, 南谷 佳弘
第79回日本消化器外科学会総会 2024年07月 - 2024年07月
【背景】術前化学放射線療法(NACRT)を施行した食道癌患者に対する術後補助ニボルマブ療法が新たな標準治療として確立された. 一方で, 術前化学療法(NAC)症例に対する術後補助療法の有用性に関してはまだ議論の余地がある.
【目的】当科におけるNACまたはNACRT症例に対する術後補助ニボルマブ療法の治療成績を解析し, その有用性を検証することを目的とした.
【方法】当科で2021年1月から2023年7月までの期間に, 術前治療後にR0根治手術を施行された食道扁平上皮癌患者38例を対象に, 術後ニボルマブ投与群と非投与群の予後, irAEの発生状況について後方視的に比較検討した.
【結果】 NACRT (照射40-41.4Gy)は25例 (FP10例, FGP13例, 他2例), NACは13例 (DCF11例, 他2例), 臨床病期 (取扱規約12版) cStageII/IIIA/IIIB/IVB(112aoP)はNACRT 群: 6/15/2/2, NAC群: 5/8/0/0. 術前治療に対する組織学的効果Grade0-1/2/3はNACRT群: 7/11/7, NAC群: 11/2/0. non-CR全31例の内, ニボルマブ投与開始前の術後早期再発 (16週以内)2例を除く, 29例がニボルマブ術後補助療法の適応を有し, その内, 実際に投与を受けた患者は10例であった. ニボルマブ平均投与月数は6.4か月, 中止理由はirAE肺炎(Grade3)が1例(10%), 再発2例, その他2例であった. ニボルマブ投与群(n=10)/非投与群(n=19)の2年無病生存率(DFS)はそれぞれ54%, 50%であった(log-rank; P=0.63). 術前治療別では, NACRT群で8例(適応あり16例), NAC群で2例(同13例)に対して術後ニボルマブ補助療法が実施された. NACRT群において, ニボルマブ投与群(n=8)/非投与群(n=8)の2年無病生存率(DFS)はそれぞれ60%, 37.5%であった.
【結論】Preliminary studyであるが, 今回の検討において, 術前治療+食道切除術後のニボルマブ補助療法の上乗せ効果は明らかでなかった. ただし, NACRT症例に限ると, ニボルマブによる術後補助療法の有用性が示された. 今後は我が国の標準治療であるNAC(DCF)症例の蓄積とその治療成績の検証が重要な課題である。 -
Galectin-7は免疫抑制に関連した扁平上皮癌転移促進因子である
長岐 雄志, 安 健博, 本山 悟, 山口 智和, 煙山 紘平, 鈴木 穣, 南谷 佳弘, 久場 敬司
第78回 日本食道学会学術集会 2024年07月 - 2024年07月
リンパ節転移を有する食道扁平上皮癌患者の予後は不良であり, 転移機序の解明とその制御法の開発が切望されている. 本研究は, 自ら作製したマウス同種移植リンパ節転移モデルに, 空間的トランスクリプト―ム解析(Visium)を組み合わせることで転移規定因子を同定することを目的とし, 扁平上皮癌の転移という臨床的課題を, リバーストランスレーショナル研究を通じて分子レベルで解決しようとするものである.
マウス扁平上皮癌細胞NR-S1Mを用いたリンパ節転移モデルにおいて, 転移リンパ節から癌細胞を分離し, 再びマウスに移植することを繰り返すことで高転移株の細胞を樹立した. この高転移株は細胞培養における増殖速度には変化がないものの, マウス移植後の腫瘍増大が速く早期にリンパ節転移をきたし, 生体内がん微小環境の影響による転移能の増強が示唆された. RNA-Seq解析では, 高転移株は親株に比べインターフェロン誘導性遺伝子群(ISGs)の発現が抑制されていた. 近年腫瘍細胞におけるISGsの発現低下が腫瘍免疫抑制と関連することが報告されていることから,高転移株腫瘍内の免疫細胞集団をFACSで解析したところ, 親株と比べてT細胞が減少しており,さらに腫瘍組織の免疫染色から,細胞傷害性T細胞や樹状細胞が欠乏した区域を確認した.空間的トランスクリプト―ム解析から, 高転移株腫瘍内の遺伝子発現は不均一性を示し, クラスター解析から免疫抑制区域の存在が示唆された.そこで, 免疫抑制環境下における腫瘍細胞由来の転移制御因子の探索を試みた結果, 免疫抑制区域で発現が高く, かつNR-S1M高転移株においても発現が亢進している共通遺伝子Galectin-7を同定した. Galectin-7の発現は免疫抑制と関連しており, リンパ節および肺転移巣において高く発現していた. Galectin-7欠損NR-S1M細胞を移植したマウスにおいて,原発腫瘍の増殖には差異は認められなかったが, リンパ節および肺への転移が顕著に抑制された.
以上より, 免疫抑制環境下で発現誘導されたGalectin-7は新たな扁平上皮癌転移規定因子であることが示された. -
特発性食道破裂に対する開胸手術と胸腔鏡手術の比較検討
長岐雄志、佐藤雄亮、脇田晃行、笹森凌平、佐々木吉寛、高橋吏、南谷佳弘
第36回日本内視鏡外科学会総会 2023年12月 - 2023年12月
【背景と目的】特発性食道破裂は予後不良な疾患であり, アプローチ法を含めた適切な治療選択が求められる. 従来, 開胸手術が広く行われてきたが, 近年, 胸腔鏡手術の有用性についての報告がみられる. 当院における特発性食道破裂に対する両術式の手術成績を比較し, 胸腔鏡手術の有用性について検討することを目的とした.
【対象と方法】当院で2010年から2022年までに, 特発性食道破裂に対して経胸アプローチによる手術治療を行った全7例を対象とし, 後方視的に検討した.
【結果】全7例の年齢中央値は77歳(61-86歳), 男性5例, 女性2例であった. 発症契機は嘔吐5例, 食道異物2例, 穿孔部位は胸部下部左壁5例の他, 胸部下部右壁, 胸部中部右壁がそれぞれ1例ずつで, 全例が胸腔内穿破型であった. 経胸アプローチ法は開胸手術4例, 胸腔鏡手術3例であり, それぞれ, 手術時間は平均252分, 122分, 出血量は平均140ml, 1mlであった. 術後Clavien-Dindo III以上の合併症は開胸群で全例に認め, 胸腔鏡群では認めなかった. 生存例における術後在院日数は平均59日, 49日であった.
【考察】特発性食道破裂に対する胸腔鏡手術は, 開胸手術に比べ, 低侵襲で, かつ手術成績も良好で, 第一選択となり得ると考える. -
扁平上皮癌の不均一性における免疫抑制の微小環境は高転移性細胞の発生をもたらす
長岐 雄志, 安 健博, 本山 悟, 山口 智和, 星崎 みどり, 煙山 紘平, 鈴木 穣, 今井 由美子, 南谷 佳弘, 久場 敬司
第32回日本がん転移学会学術集会・総会 2023年07月 - 2023年07月
リンパ節転移を有する食道扁平上皮癌患者の予後は不良であり, 特異的な癌微小環境が癌細胞の転移に関与するとされるが未だ不明な点が多い. 本研究では, マウス同種移植リンパ節転移モデルと空間的遺伝子発現解析を用いて, 転移に関わる癌微小環境を同定することを目的とした.
マウス口腔内扁平上皮癌細胞NR-S1Mを用いたリンパ節転移モデルにおいて, 転移リンパ節から癌細胞を分離し, 再びマウスに移植することを繰り返すことで高転移株の細胞を樹立した. この高転移株は細胞培養における増殖速度には変化がないものの, マウス移植後の腫瘍増大が速く早期にリンパ節転移をきたし, 生体内癌微小環境における増殖能及び転移能が増強していた. RNA-Seq解析では, 高転移株は親株よりもインターフェロン誘導性遺伝子群(ISGs)の発現が抑制されていた. 近年腫瘍細胞内ISGsの発現低下が抗腫瘍免疫を抑制することが報告されていることから,高転移株腫瘍内の免疫細胞をFACSで解析すると, 親株と比べてT細胞が減少していた. 腫瘍組織の免疫染色では,細胞障害性T細胞や樹状細胞が密に分布する部位と反対に疎な部位を認めた.そこで, 細胞の位置情報を保持したままでの遺伝子発現解析が可能な空間的遺伝子発現解析を行ったところ, 高転移株腫瘍内には抗原提示やインターフェロン反応に関する遺伝子発現が低下している領域(免疫抑制区域)と, 反対にそれらの遺伝子発現が上昇している領域(免疫活性化区域)が検出された.免疫抑制区域において細胞障害性T細胞や樹状細胞の浸潤は減少しており, 同時に癌転移促進因子の遺伝子発現が上昇していた.
以上より, 高転移株の扁平上皮癌細胞全体では抗腫瘍免疫が抑制され,in vivo腫瘍では不均一性を示し,その中で免疫抑制区域の癌微小環境が高転移性細胞の発生には重要であることが示唆された. -
進行食道癌に対するニボルマブ療法の初回投与時間と概日周期による影響
長岐雄志,佐藤雄亮,脇田晃行,煙山紘平,笹森凌平,野崎崇,南谷佳弘
第77回日本食道学会学術集会 2023年06月 - 2023年06月
【背景】免疫チェックポイント阻害剤(ICI)は, 進行食道癌の治療戦略に変革をもたらした. 一方, 免疫機構における概日周期の影響やICI投与時刻が治療効果に与える影響について他癌腫を中心に報告がある. 本研究では, 進行食道癌に対するニボルマブ(Nivo)療法における, 初回投与時刻が治療効果や予後に及ぼす影響について検証した.
【方法】2020年3月から2022年8月の間に, 当院で進行/再発食道癌または食道胃接合部癌に対してNivo療法が施行された56症例の内, 治療後評価を施行可能だった54例を対象に後方視的解析を行った. 全生存期間(OS)は初回Nivo投与日から死亡日または最終生存確認日(打ち切り)までと定義した. Nivo療法は240mg/2週間または480mg/4週間で両者とも1回としてカウントした. 初回Nivo投与時刻のCut offを13:00, 13:30, 14:00として, それ以前をDaytime群(D群), 以後をEvening群(E群)と定義した.
【結果】全54症例の患者背景は以下の通り. Nivo開始年齢(中央値)は67.5(51-88)歳, 女/男10/44例, ECOG PSは0/1-4 47/7例, Nivo開始時のStageはII/III/IVa/IVb 1/3/19/31例, 標的病変は主病巣/リンパ節転移/肺転移/肝転移 14/20/19/9例で, その他に播種/腎転移/骨転移が少数含まれていた(重複あり). Nivo投与回数(中央値)は8(1-41)回で, 最良総合効果はCR/PR/SD/PDそれぞれ9(17%)/10(19%)/10(19%)/25(46%)であった. irAEは全Grade: 11例(20%), Grade3: 4例(7%)で, Grade4-5はなかった. 初回Nivo投与時刻の中央値は12:05(9:44-15:58)であった。全生存期間中央値(MST)(Cut off; 13:00)はD群/E群: 20ヶ月/13ヶ月(P=0.120), MST(Cut off; 13:30)はD群/E群: 20ヶ月/5ヶ月(P=0.007), MST(Cut off; 14:00)はD群/E群: 20ヶ月/3ヶ月(P<0.001)であった. 初回Nivo投与時刻はResponse rate(CR+PR)やClinical benefit rate(CR+PR+SD)に影響しなかった. OSにおいて, 年齢(65歳未満), 性別, NLR(Neutrophil/Lymphocyte Ratio; 4<), irAEの有無, 放射線治療歴, 初回Nivo投与時刻(13:30-)で多変量解析を行うと, 初回Nivo投与時刻(13:30-)は有意な独立した予後不良因子であった(HR:3.15, 95%CI:1.20-8.28).
【結論】進行食道癌において, Nivoの初回投与時刻が治療効果には直接影響せず, 予後と相関した. ICIの初回投与時刻は, 宿主または腫瘍の免疫反応性に何らかの影響を与え, ICIの後治療を含めた治療戦略における重要な因子となる可能性が示唆された. -
リンパ節転移陽性胸部食道扁平上皮癌症例に おける術前治療前後のPET-Nを用いた予後予測
長岐 雄志, 他
第123回 日本外科学会定期学術集会 2023年04月 - 2023年04月 日本外科学会
【背景と目的】昨今, 食道癌の集学的治療は大きく発展し, 術前の正確な術前治療効果判定および予後予測はますます重要となっている. 今回, 術前治療(NACRT)+手術を施行したリンパ節転移陽性(cN+)胸部食道癌症例における, リンパ節へのFDG-PET集積(PET-N)の, 予後予測因子としての有用性を明らかにする.
【対象と方法】当院で2010-2020年に, NACRT後に根治手術を施行したcN+胸部食道扁平上皮癌151例の内, NACRT前後でFDG-PETを施行した115例を対象とし, 後方視的に検討した. NACRTレジメンは照射療法41.4Gy(23分割)とFP療法(2コース)である.
【結果】対象症例は年齢中央値: 65歳(41-75), 女/男: 17/98例, cT1/2/3/4: 6/8/99/2例, cN1/2: 82/33例, cM(No.104): 13例, cStageI/II/III/IV:5/9/87/14例であった. ①NACRT前FDG-PETにおけるリンパ節への集積陽性例(SUVmax≧2.5)が92例(cPET-N(+);80%), 陰性例が23例(cPET-N(-);20%)であった. 5年全生存率(OS)/無再発生存率(RFS)はcPET-N(+): (59.8/54.1%), cPET-N(-): (55.3/66.6%)で, いずれも有意差を認めなかった. ②NACRT後FDG-PETにおけるリンパ節への集積陽性例は20例(CRT-PET-N(+);18%), 陰性例は95例(CRT-PET-N(-);83%)であった. 5年OS/RFSはそれぞれ, CRT-PET-N(+)で 38.5/37.1%, CRT-PET-N(-)で63.0/60.8%であった. CRT-PET-N(+)よりもCRT-PET-N(-)は5年OS/RFSが有意に高かった (P = 0.03/0.02). ③NACRTによってcPET-N(+)からCRT-PET-N(-)へ移行した症例をPET-N-responder(74例; 79%), cPET-N(-)からCRT-PET-N(+), またはcPET-N(+)がCRT-PET-N(+)のままだった症例をPET-N-non-responder(20例; 22%)と定義して解析した. 5年OS/RFSはPET-N-responder 63.5/58.1%, PET-N-non-responder 38.5/37.1%であった. PET-N-responderはPET-N-non responderよりも5年OS/RFSが有意に高かった(P = 0.03/0.04). PET-N-responderは単変量および多変量解析で有意な独立予後因子であった.
【結論】PET-NはNACRT後のcN+胸部食道癌の術前予後予測因子として有用である. -
Comparison of the efficacy and the safety profiles of nivolumab versus trifluridine/tipiracil: retrospective study in the salvage line chemotherapy for unresectable metastatic gastric cancer
Yushi Nagaki, Taichi Yoshida, et al
第60回日本癌治療学会学術集会 2022年10月 - 2022年10月
-
骨髄異形成症候群に合併した回盲部切除術後壊疽性膿皮症の1例
長岐 雄志、齊藤 礼次郎、柴田 聡、今野 広志、大渕 徹、宇佐美 修悦、田村 博史、米屋 崇峻、遠藤 和彦
第83回日本臨床外科学会総会 2021年11月 - 2021年11月
-
リンパ節転移陽性胸部食道扁平上皮癌に対する術前化学放射線療法+手術 (PET-Nを用いた予後予測)
長岐 雄志、本山 悟、佐藤 雄亮、脇田 晃行、藤田 啓、煙山 紘平、佐々木 吉寛、今井 一博、南谷 佳弘
第76回日本消化器外科学会定期学術集会 2021年07月 - 2021年07月
-
術前化学放射線治療前後での主病巣SUV-max減少率は、pT1-4N1-3食道扁平上皮癌患者の長期予後を予測できる
長岐 雄志、本山 悟、佐藤 雄亮、脇田 晃行、藤田 啓、煙山 紘平、今井 一博、南谷 佳弘
第121回日本外科学会定期学術集会 2021年04月 - 2021年04月
-
術前CRT+手術を施行した食道扁平上皮癌のCRT Grade別の治療成績の検討
長岐 雄志、本山 悟、佐藤 雄亮、脇田 晃行、川北 雄太、南谷 佳弘
第74回日本食道学会学術集会 2020年12月 - 2020年12月
-
m6A demethylase ALKBH5 promotes proliferation of esophageal squamous cell carcinoma associated with poor prognosis.
長岐 雄志、久場 敬司
第79回日本癌学会学術集会 2020年10月 - 2020年10月
-
m6A 脱メチル化酵素ALKBH5は食道扁平上皮癌の細胞増殖を促進する予後不良因子である
長岐 雄志、本山 悟、山口 智和、星崎 みどり、佐藤 雄亮、脇田 晃行、川北雄太、南條 博、南谷 佳弘、久場 敬司
第121回日本外科学会定期学術集会 2020年04月 - 2020年04月
-
術前CRT+手術を施行しCRT Grade3判定となった食道扁平上皮癌症例の再発形式と予後についての検討
長岐 雄志、佐藤 雄亮、脇田 晃行、川北 雄太、本山 悟
第81回日本臨床外科学会総会 2019年11月 - 2019年11月
-
ドレナージ術を要した食道穿孔(破裂)の3症例
長岐 雄志、宇佐美 修悦、本山 悟、川原田 康、栗原 伸泰、藤田 啓、小川 純一、神谷 彰
第71回日本食道学会学術集会 2017年06月 - 2017年06月
-
広範な黄色肉芽種を伴った胸壁前再建胃管癌の一例
長岐 雄志、宇佐美 修悦、本山 悟、水上 浩哉、川原田 康、栗原 伸泰、藤田 啓、小川 純一、神谷 彰
第71回日本食道学会学術集会 2017年06月 - 2017年06月
-
横行結腸原発の神経内分泌腫瘍の1例
長岐 雄志、佐々木 靖博、中津 敏允、松尾 翼、天満 和男、中村 正明
第77回日本臨床外科学会総会 2015年11月 - 2015年11月