研究等業績 - 原著論文 - 高橋 環太郎
-
Tourism boom on island regions in Japan during the 70s and 80s
Kantaro Takahashi
Journal of Global Tourism Research 9 ( 2 ) 145 - 148 2024年11月 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 単著
本研究は1970~80年代の伊豆諸島と沖縄を対象に観光需要の分析を行った。対象とした二つの地域では70年代に急激な観光地化が起きたとされるが、その後の観光客数についてはそれぞれ異なる変化をみせた。本研究では各地域における月別の観光客数と国内人口を変数としたモデルをコクラン・オーカット法により推計を行い、二つの地域における観光需要の違いを示した。
-
The characteristics of accommodations in the early period of tourism development: The case of Okinawa
Kantaro Takahashi
Journal of Multidisciplinary Academic Tourism ( Disiplinlerarasi Akademik Turizm Dergisi ) 9 ( 1 ) 19 - 24 2024年04月 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 単著
本研究は観光地として発展する前の沖縄における宿泊施設の価格について分析を行った。最初に主成分分析を行い宿泊施設の特徴を集約した。分析の結果、西洋風の宿泊施設と和風の宿泊施設に分類された。さらに主成分得点を用いて価格への影響について回帰分析を行った結果、西洋風の宿泊施設の影響が和風の施設と比べ高かった。また、立地傾向から都市部に西洋風の宿泊施設は集まっているため、初期の沖縄観光の発展は限定的であったことが実証された。
-
The determinants of airline networks in the island regions of Japan.
Kantaro Takahashi
International Journal of Business, Economics and Management ( conscientia beam ) 10 ( 3 ) 36 - 43 2023年10月 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 単著
本研究は国内島嶼地域の航空網について分析を行った。まず、ネットワーク分析による中心性の測定を行い、小規模な島嶼地域においては石垣島や奄美大島といった隣接する大きな島の重要性が明らかとなった。また、ネットワークの中心性を目的変数とした回帰分析においては島嶼地域の観光需要だけではなく、地域内の経済規模や人口の特性といった社会経済的な要因も重要な変数ということが明らかとなった。これらの結果から、本研究は航空網を維持するには観光振興だけではなく、島内および隣接する地域の社会状況を見ることの重要性を示唆した。
-
観光需要における季節性を用いた地域区分とそのパターン-秋田県を事例に
高橋環太郎
秋田地理 ( 秋田地理学会 ) 36 11 - 18 2023年05月
研究論文(学術雑誌) 単著
本研究では因子分析による地域区分の手法を用いて、地域ごとの観光需要の特性と季節性のパターンを明らかにすることを目的とした。因子負荷量の結果から秋田県内の季節性の変動は5つのパターンに集約された。また、因子得点による比較を行った結果、各地域の祭事や自然環境によってパターン化されていることが推察された。さらに本研究では2014年から2020年の間の推移についても検討を行った。その結果、2020年の減少は全地域に見られたが、地域によって傾向が異なることが明らかとなった。本研究は地域間の年次変化の違いは立地環境やアクセス面によるものと推察し、今後も広がる可能性を示唆した。
-
高橋環太郎
島嶼研究 ( 日本島嶼学会 ) 23 ( 2 ) 95 - 106 2022年10月 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 単著
本研究ではマルタ共和国における観光需要と語学学校への需要について分析を行った。その結果、観光需要はEU圏に集中している傾向を示す結果となった。一方、語学学校はヨーロッパ以外からの国や地域からの需要もあることが影響する推計結果となった。EU加盟国の中で,マルタ共和国は数少ない英語を公用語とする地域である。こうした文化的背景はマルタ共和国の強みの一つといえ、観光産業と語学学校とのつながりは当該国にとって重要な視点となると本研究で推察した。
-
The Nexus Between Tourism Demand and Regional Characteristics: the Case of Japanese Islands
Takahashi Kantaro
International Journal of Islands Research ( Technological University Dublin ) 3 ( 1 ) 15 - 24 2022年09月 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 単著
本研究では離島振興法の対象地域における観光需要についての分析モデルを構築した。分析の結果、交通状況や立地条件が観光需要に対して影響していることが明らかとなった。さらに島と隣接している地域による観光需要への差が示唆され、都市との結びつきが観光需要に影響していることが明らかとなった。この結果から島嶼地域の観光を考える際、島嶼地域内のことだけではなく、交通面などほかの地域との結びつきに着目することも重要な視点であることが明らかとなった。
-
The impact of travel subsidy on individual accommodations under COVID-19 pandemic
Shohei Suzuki, Yuki Okano, Kantaro Takahashi
Journal of Global Tourism Research ( International Society for Tourism Research ) 7 ( 1 ) 61 - 68 2022年05月 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 国内共著
本研究はコロナ渦における観光産業への影響についてOTAのデータをもとに考察したものである。予約件数から2020年は大幅に減少傾向がみられたが、GO to travelキャンペーンによる抑制効果についても確認された。また、二項ロジスティックモデルの結果から高級な宿泊施設ほど予約される傾向が明らかとなった。
-
Kantaro Takahashi
Journal of Global Tourism Research ( International Society for Tourism Research ) 6 ( 2 ) 157 - 162 2021年11月 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 単著
本研究は日本人の海外旅行需要について統計的な分析を行った。対象とした年次は海外旅行が解禁されて間もない1971年と経済成長を遂げた1989年であり、各年次の年齢層別や性別による違いを比較した。その結果、1971年では男性が占めていたのに対して、1989年には女性の旅行客の比率が伸び、若年層についても高い比率となっていた。さらに、目的地についてはアジア地域への需要が伸びたことや、国内の物価高による高級志向の傾向が重力モデルを援用した統計分析から明らかとなった。これらの数値結果は社会経済の成長が著しい地域の観光需要の傾向を示したものとなった。
-
高橋 環太郎
島嶼地域科学 ( 国立大学法人 琉球大学島嶼地域科学研究所 ) 2 ( 0 ) 63 - 78 2021年07月 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 単著
本研究は長崎県の島嶼地域における航路網についてネットワーク分析を行い,観光需要との関係を考察した。長崎県は多くの島嶼を抱えており,観光による地域振興が行われているが,交通の利便性が課題となっている。最初に航路の結びつきから空間構造を明らかにするため,中心性の測定を行った。島嶼地域側の中心性が高いのは五島列島の福江島,中通島,小値賀島となり,対岸の都市側では佐世保市が高い値を示した。次に中心性の値と各島の観光客数との関係を分析した結果,中程度の相関関係がみられた。これらのことから,島嶼地域の観光振興においては島内の観光資源を整備するだけではなく,島外の結びつきを考慮した取り組みの重要性が示唆された。
-
The Impact of Migrants on Tourism Demand -The case of Fiji-
Takahashi K.
e-Review of Tourism Research ( e-Review of Tourism Research ) 18 ( 5 ) 779 - 793 2021年 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 単著
本研究はフィジーにおける国際観光需要と移民ストックに関する影響を分析した。最初に統計モデルによって観光需要と移民量の関係を明らかにした。次に観光目的と季節性の関係について主成分分析を行った結果、余暇目的の観光者と移民との関係の深い友人・親戚への訪問目的の観光は類似した季節に訪れている傾向が明らかとなった。
-
高橋環太郎
Tourism Analysis: An Interdisciplinary Tourism & Hospitality Journal ( Cognizant Communication Corporation ) 25 ( 1 ) 175 - 181 2020年03月 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 単著
本研究では地域の産業特性による観光需要への影響の違いを明らかにすることを目的とした。対象地域は多くの観光産業が集積するリゾートである仏領ポリネシアと国際的な企業が集積するシンガポールとした。分析により、仏領ポリネシアは高所得市場からの国際的な需要がシンガポールもより高い結果となった。一方、世界的な経済恐慌による観光市場への影響は多様な産業が集積するシンガポールでは低く、仏領ポリネシアでは大きいことが明らかとなった。
-
長崎県における島嶼地域の観光特性と立地が文化資源に及ぼす影響に関する考察
高橋環太郎
島嶼研究 ( 日本島嶼学会 ) 21 ( 1 ) 91 - 100 2020年02月 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 単著
本稿は長崎県の離島振興法に指定されている地域を対象に観光特性と立地特性の分析を行った。本稿では、最初に観光に関する変数を用いて因子分析を行った。分析の結果、観光需要の因子と宿泊関連の因子の二つの潜在因子を抽出した。次にキリシタン関連の観光資源がある地域とない地域に分類し、因子得点の比較を行った。その結果、観光需要の因子はキリシタン関連の観光資源を有する島では高い値を示した。一方、宿泊関連の因子は低い傾向がみられた。このことから、キリシタン関連の観光資源を有する島は宿泊施設や宿泊を伴った観光需要が希薄なことが示唆された。
-
高橋環太郎
Island Studies Journal ( University of Prince Edward Island ) 14 ( 1 ) 163 - 174 2019年05月 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 単著
本研究は小島嶼開発途上国(SIDS)における国際観光需要と島嶼出身の移民量の関係を統計モデルにより明らかにした。島嶼地域は移民移出国として知られ、彼らによる海外送金が経済を支える重要な役割を果たしている。また、観光産業は多くの島嶼地域において主要産業となる傾向がある。先進国においては友人および親戚の訪問(VFR)目的による観光を中心に実証研究が進められているが、SIDSにおいても同様の現象がみられることを実証したのが本研究の意義である。
-
Determinants to Configure the Economy of Tourist Industries for the Tourism-Led Growth Hypothesis
高橋環太郎
e-Review of Tourism Research ( Texas A and M University ) 16 ( 1 ) 1 - 14 2018年 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 単著
本研究は観光産業が主要になりやすい地域の特徴をとらえることが目的である。分析の結果、小規模市場で、貿易依存が低い地域が観光産業を主要とする傾向を示した。また、開発途上の地域より、成熟した国内市場を持つ地域において観光産業が主要になりやすい傾向を示した。観光産業が主要になりやすい地域では観光主導の経済成長(TLG)仮説が期待されているが、本研究の示した特徴をもつ地域においてTLG仮説が当てはまる可能性が高いことが示された。
-
太平洋の島嶼地域における2つの流動量の決定要因の比較 ―観光客,移民による海外送金の流動を事例に―
高橋環太郎
経済地理学年報 64 ( 1 ) 24 - 35 2018年 [査読有り]
研究論文(学術雑誌)
本研究では空間的相互作用を記述する重力モデルを援用し,太平洋の島嶼地域における観光客,移民による海外送金といったそれぞれの流動パターンの分析および比較を行った.分析の結果, 所得および距離のパラメータは流動の違いによる差はみられず,送出地域および受入地域ともにおおむね高いことがわかった.一方,物価弾力性,植民地関係,言語関係を表す変数は流動による差がみられ,海外送金の流動は観光客流動よりもこれらの変数の影響が高いことが示された.分析結果から、太平洋の島嶼地域における観光戦略や移民政策を議論する場合,それぞれを独立した現象ではなく、関連した現象として議論することが重要な視点となり得ることが示された.
-
「観光客数」 と 「観光客一人当たりの消費額」 という 2 つの指標をめぐる分析: 観光が経済的に重要な役割を果たす小島嶼開発途上国を対象として
高橋環太郎
観光学評論 5 ( 1 ) 37 - 48 2017年 [査読有り]
研究論文(学術雑誌)
本稿では小島嶼開発途上国を対象に、「観光客数」および「観光客一人当たりの消費額」といった2つの指標が観光サービスを供給する地域側の社会経済や観光客の属性がどのように関係しているかを考察した。分析の結果、「観光客数」は受け手地域の所得や宿泊施設の稼働率が、一方、「観光客一人当たりの消費額」は産業集積の高さや観光客の宿泊日数の長さ、宗主国からの観光客比率がそれぞれ影響することを確認した。