研究等業績 - 原著論文 - 加藤 慎一
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数学のよさが分かる高等学校数学科の教材開発:高等学校数学科「三角関数」を事例として
中村 東,加藤 慎一
あきた数学教育学会誌 ( 6 ) 2024年07月 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 国内共著
本稿の目的は,高等学校数学科「三角関数」を事例として,数学のよさが分かる教材を開発すること,そして開発した教材をもとに構想し展開した授業を分析することを通して,その効果を実証的に検討することである.そのために,数学のよさが分かる教材の要件を3つに整理し,それらを満たす教材を開発するための4つの視点を設定した.4つの視点をもとに,教材を開発するとともに,その教材をもとに構想し展開した授業の考察を行った.考察からは,教材開発のための4つの視点が,生徒が社会における数学の有用性や実用性を実感することに寄与することが示唆される.
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生徒における数学的な態度を涵養する図形教材の開発:「一つのものをほかのものと関係づけてみようとすること」に光をあてて
加藤 慎一,森本 明
東北数学教育学会誌 ( 東北数学教育学会 ) 55 ( 0 ) 16 - 24 2024年03月 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 国内共著
本稿では,特に,数学的な態度のうち,関数の考えの本質である,「一つのものをほかのものと関係づけてみようとする」ことに光をあてて,生徒における数学的な態度を涵養するための教材の要件を明らかにし,その要件を満たす教材を開発することを目的とする。本稿では,「一つのものをほかのものと関係づけてみようとする」ことを涵養する教材の要件として,次の3 つ導出した。第一の要件は,生徒自ら事象から数量や位置,関係,命題を取り出し,それらを対応させたり変化させたりする経験を積むことができることである。第二の要件は,生徒自ら事象から取り出した数量や位置,関係,命題などを対応させたり変化させたりすることにより帰納的,類比的に推論し関係をみいだす経験や,みいだした関係がいつでも成り立つかどうかについて演繹的に推論する経験,発展的・統合的に考察する経験を積むことができることである。第三の要件は,生徒が一つのものをほかのものと関係づけて問題を発見・解決し,その結果として,生徒自ら一つのものをほかのものと関係づけることのよさが分かることが期待されることである。そして,この3 つの要件を満たす中学校第2 学年の生徒を対象にした図形教材を開発した。
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数学の授業過程における創造的な活動の具現化に関する事例的考察:生徒における数学的な推論に光をあてて
加藤 慎一, 森本 明
東北数学教育学会誌 ( 東北数学教育学会 ) 0 ( 53 ) 53 - 64 2022年03月 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 国内共著
本稿では,数学的な推論,特にPeirceが提唱するリトロダクションが,数学の授業過程における創造的な活動の具現化に,どのような影響をもたらすかについて,高等学校数学科における教材を事例として取り上げ,考察し,その一端を明らかにすることを目的とする。そのために,本稿では,次の2つを観点とする枠組みを導出した;①生徒における数学的概念を覆す,あるいは生徒における予想を覆すような文脈や状況になっているか,②数学的な見方・考え方を発動し,深い学びを創出する契機になることが期待されるか。その上で,高等学校数学科における関数教材を事例として取り上げ,考察を行った。考察からは,次の3つの示唆を得た。①生徒が能動的に問題にかかわり,生徒自ら問いを創出する契機になる,②答えを得ることに終始するのではなく,根拠をもとにしてある事柄や関係が正しいかどうかを説明する契機になる,③数学の授業過程に,領域横断的な学び,あるいは教科横断的な学びを創出する契機になる。
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数学の授業過程に数学的なプロセスを創出する教師の役割に関する省察:授業における教師の「聞くという行為」に着目して
加藤 慎一, 森本 明
東北数学教育学会誌 ( 東北数学教育学会 ) 0 ( 52 ) 14 - 26 2021年03月 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 国内共著
本研究は,授業前に構想し想定した数学的活動を,教師が授業における教材を介した生徒とのかかわりを通して,生徒の学びの事実に即してリデザインしてその後の授業を展開し,数学的なプロセスを創出する教師の役割について,高等学校数学科の授業を事例として省察する試みである。本稿では,教師における「聞くという行為」が生徒の学びの事実に即した数学的活動のリデザインにどのような影響をもたらしているかについて,その一端を明らかにすることを目的とする。そのために,高等学校の生徒10 名を対象にした高等学校数学科の「図形と方程式」「三角関数」の授業を事例として,教師における「聞くという行為」が生徒の学びの事実に即した数学的活動のリデザインにどのような影響をもたらしているかについて省察した。省察から,教師における「聞くという行為」が,生徒が問題の置かれている文脈と状況にかかわり,それらを既習の数学と結びつけて問題を解決する過程に内在された生徒のアイデアを掘り起こし,その後の授業の展開に顕在化する契機となっていて,それは同時に生徒の学びの事実の新たな一端を教師が発見する契機となっていることが示唆される。その結果として,授業前に構想し想定した数学的活動を,教師は生徒の学びの事実に即してリデザインして授業を展開することで,数学的なプロセスを創出することにかかわっている。
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数学的なプロセスを重視した授業の構想と展開についての事例研究:高等学校数学科「三角関数」を事例として
加藤 慎一,森本 明
東北数学教育学会誌 ( 51 ) 17 - 26 2020年03月 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 国内共著
算数数学の授業を通して,児童生徒の数学的に考える資質・能力をはぐくむことが求められている。そのためには,算数数学科ならではの内容とプロセスの両面の視点から,算数数学の授業を構想し展開することが必要かつ重要である。そのために,本研究では,数学的なプロセスに光を当てて,数学的なプロセスを重視した授業の構想と展開について,高等学校数学科「三角関数」を事例として省察する試みである。本稿では,数学的なプロセスを重視した授業の構想と展開が生徒における数学的活動の質にどのような影響をもたらしているか,その省察の過程ならびにその成果と課題を報告する。
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思考の反覆を促進するICT活用に関する基礎的研究:関数的な見方・考え方を生かした問題発見・解決過程に焦点をあてて
加藤 慎一,森本 明,江森 英世,杜 威
東北数学教育学会誌 ( 50 ) 63 - 72 2019年03月 [査読有り]
研究論文(学術雑誌) 国内共著
ICT活用が,思考の反覆に伴う困難の克服を支え,いかに促進しうるか。本稿は,この研究課題の解決に向けた基礎的研究である。本研究では,関数的な見方・考え方をはぐくむ算数科の授業づくりに焦点をあてて,思考の反覆を促進するためのICT活用について考察する。本稿では,関数的な見方・考え方を生かした問題発見・解決過程において,行為の過程や結果を振り返るためのICT活用の効果について,教師をめざす学生を対象にして行った授業をもとに収集した資料で考察を行った。本稿では,その考察の過程ならびに成果と課題について報告する。