研究経歴 - 藤原 憲秀
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イワヒバ由来セラジネリン類の全合成研究
(選択しない)
研究期間:
2016年10月-2020年03月研究態様:国内共同研究
研究課題概要
セラジネリンAはシダ植物のイワヒバ Selaginella tamariscina から単離されたポリフェノール天然物です。ビフェニル骨格の2位にフェノールの置換したキノンメチドが接続し、3位に4-ヒドロキシフェニルエチニル基が接続した、立体的に込み入った構造が特徴です。セラジネリンSは、同属のシダ植物 S. pulvinata と S. moellendorffii から単離された類縁体です。キノンメチドの代わりにケトンが存在するため、構造が幾分単純化されています。 私達はセラジネリン類の特異な構造に興味を持ち、その最初の全合成を計画しました。しかし、立体的な混み合いを克服して骨格を構築することが大きな課題になりました。そこで、Diels-Alder反応と脱水素的芳香環化によるビフェニル骨格の構築、および、付加-脱離反応によるフェノール置換キノンメチド部の構築を基本として、その各段階の反応の順序を工夫して、セラジネリンAとSの世界で最初の全合成に成功しました。フェノールの置換したキノンメチドを持つセラジネリン類はpH感受性の色素として機能することが報告されていますが、合成したセラジネリンAでもそれを確認できました。
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放線菌由来ルブロロン類の全合成研究
(選択しない)
研究期間:
2016年04月-継続中 -
渦鞭毛藻由来殺がん細胞活性物質ポーチミンの全合成研究
(選択しない)
研究期間:
2016年04月-継続中研究態様:国内共同研究
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変形菌由来ケホコリン類の全合成研究
(選択しない)
研究期間:
2015年10月-2019年03月研究態様:国内共同研究
研究課題概要
ケホコリンAは変形菌トゲケホコリ(Trichia favoginea var. persimilis)から単離された癌細胞増殖抑制作用を持つ天然物です。3個のベンゼン環が直線的に連なるパラ-ターフェニル骨格を持ちますが、その2つのベンゼン環が1つの酸素原子を介して結合してジベンゾフランを形成していることが構造上の特徴です。さらに、ジベンゾフランの末端にL-ラムノースが結合していることも大きな特徴です。トゲケホコリからL-ラムノースを持たないケホコリンBも単離されているので、菌体内でケホコリンBからケホコリンAが生合成されていると推定されます。 私達はケホコリン類の独特な構造に興味を持ち、全合成を検討しました。ケホコリンAは既に理研の高橋俊哉先生により最初の全合成が報告されていますが、私達は異なる経路で全合成を計画しました。その結果、鈴木カップリングと分子内Ullmannエーテル合成でジベンゾフラン骨格を構築した後、再度鈴木カップリングでケホコリンBの骨格を合成し、最後にラムノース部をグリコシル化する経路でケホコリンAを全合成することに成功しました。世界で2番目の合成例です。
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イボタケ由来p-ターフェニルジエステル化合物の合成と生物活性の調査
科学研究費補助金
研究期間:
2010年04月-2015年12月研究活動内容
現在までテレファンチンOと天然類縁体の全合成を達成した。また、複数の人工類縁体を調製し、構造活性相関の調査を進めた。
研究態様:機関内共同研究
研究課題概要
イボタケ属のキノコが生産するテレファンチンOに代表されるp-ターフェニルジエステル化合物は殺癌細胞活性を持つ。その全合成研究を展開した。
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緑藻由来ニグリカノシドAジメチルエステルの全合成研究
科学研究費補助金
研究期間:
2006年04月-継続中研究活動内容
現在までに転位反応を利用したエーテル結合部の形成法を開発した。またニトロアルドールを利用した収束連結法のプロトタイプを開発した。
研究態様:機関内共同研究
研究課題概要
ニグリカノシドAは緑藻よりジメチルエステルとして単離された特異なモノガラクトシルジアシルグリセロールである。葉緑体中の脂質と同じ構造単位を持ちながら脂肪鎖間および脂肪鎖とガラクトース間でエーテル結合を形成した構造は、これまで報告例が無いため、その全合成を企画した。
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渦鞭毛藻由来プロロセンチンの全合成
科学研究費補助金
研究期間:
2006年04月-2010年12月研究活動内容
最初に提出構造の全合成に成功したが、天然物とデータが一致せず、提出構造の誤りが判明した。その後、改訂構造の全合成を達成し、旋光度の符号以外のスペクトルが一致した事から、天然物が合成品の鏡像異性体であると解明できた。更に、合成経路を効率化し、天然型絶対立体配置の(–)-プロロセンチンの全合成を達成した(2010年学会報告)。
研究態様:機関内共同研究
研究課題概要
渦鞭毛藻起源の(–)-プロロセンチンは、殺癌細胞活性を示すポリエーテルであり、構造情報は平面構造と部分相対立体配置に限られていた。そこで、絶対配置解明を目指して全合成研究を展開した。
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紅藻由来アルマトールFの全合成研究
科学研究費補助金
研究期間:
2005年04月-継続中研究活動内容
現在、転位反応と閉環メタセシスを利用して、単環7員環状エーテル部の合成と、3環性エーテル部のシス縮環部の構築に成功している。今後、3環性エーテル部の構築後、単環部と連結して構造の確定した複数のジアステレオマーを合成し、天然物とデータを比較して天然物の絶対立体配置を決定する予定である。
研究態様:機関内共同研究
研究課題概要
アルマトールFは紅藻由来のトリテルペンポリエーテルであり、構造情報は部分相対立体配置のみに限定されている。そこで、全体の絶対立体配置の解明を目指して全合成を企画した。
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渦鞭毛藻由来ゴニオドミンAの全合成研究
科学研究費補助金
研究期間:
2003年04月-継続中研究態様:機関内共同研究
研究課題概要
アクチン作用性ポリエーテルマクロライドのゴニオドミンAは、当初立体化学が不明であった。その解明のため、立体化学の明確なモデル化合物と天然物のNMRデータの比較を企画し、環状エーテルを含む部分構造の合成法を開発してきた。最近、別グループが天然物を用いて絶対立体配置を提案し、更に別グループがX線結晶構造解析でそれを確定させた。今後、これまで開発した手法を用いて、確定した立体構造の合成を展開する。
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赤潮由来ヘミブレベトキシンBの形式全合成
科学研究費補助金
研究期間:
2001年04月-2004年12月研究活動内容
実際にヘミブレベトキシンBの4環性トランス縮環骨格の構築に成功し、効率的な形式全合成を達成した(2004年)。
研究態様:機関内共同研究
研究課題概要
赤潮藻類起源のヘミブレベトキシンBは、特異な4環性トランス縮環状エーテルである。その効率合成のため、両端の2つの環状エーテルを別々に合成し、それらを連結しつつ新たに中央に2環を構築する「2環構築型連結法」を開発した。
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海産毒シガトキシン3Cの全合成研究
科学研究費補助金
研究期間:
1995年04月-継続中研究活動内容
現在、基本セグメントとしてAB環、EF環、I環、およびLM環を調製した。8、9員環が隣接するEF環の合成は困難であったが、転位反応と閉環メタセシスを利用してその合成に成功した。さらに、AB環とEF環からのCD環の構築と、I環とLM環からのJK環の構築を可能にする共通の方法を開発した。また、F環とI環をGH環部で連結する方法も開発した。現在、ABCDEF環とIJKLM環の合成の目処が付き、これらの大量合成を検討している。今後、これらをGH環部で連結して全合成を完了する予定である。
研究態様:機関内共同研究
研究課題概要
海産神経毒のシガトキシン3Cは、複雑な多環式トランス縮環状エーテルであり、有機合成化学上の難課題の一つである。この化合物の独自の効率全合成を企画した。
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貝毒ペクテノトキシン2の全合成
科学研究費補助金
研究期間:
1994年04月-2014年12月研究活動内容
全体を3個の基本セグメントから収束的に構築する合成経路を開発し、一旦、スピロ環状アセタールの立体化学のみが異なる類縁体(ペクテノトキシン2b)を合成した。この類縁体を異性化させる反応の挙動を詳細に追跡した結果、平衡状態では第三の類縁体が優先するものの、早い段階ではペクテノトキシン2が優先することを見出した。この短時間の異性化反応により、世界最初のペクテノトキシン2の選択的全合成に成功した(2014年)。
研究態様:機関内共同研究
研究課題概要
貝毒ペクテノトキシン2は、特異な"ノンアノマー型"スピロ環状アセタールを特徴とする複雑なポリエーテルマクロライドであり、合成化学的な難課題の一つとされてきた。その全合成研究を展開した。
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紅藻由来オブツセニン類、ローレンシン、プレローレアチンの全合成
科学研究費補助金
研究期間:
1993年09月-2002年12月研究活動内容
そこで、環状エーテルの構築に続く立体選択的官能基導入を基軸として、9員環状エーテルのオブツセニン類の最初の全合成を達成した(1999年)。更にC-グリコシドの環開裂後に8員環に再閉環する新手法で、8員環状エーテルのローレンシン(2005年)とプレローレアチン(2002年)の全合成を達成した。
研究態様:機関内共同研究
研究課題概要
紅藻を起源とするオブツセニン類、ローレンシン、プレローレアチンは、特異な8または9員環状エーテル構造と酸素に隣接する臭素を有し、その立体選択的合成が課題とされてきた。そこで、環状エーテルの構築に続く立体選択的官能基導入を基軸として、これらの環状エーテル天然物の全合成研究を展開した。
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トランス縮環状ポリエーテルの生合成仮説の有機化学的実現
科学研究費補助金
研究期間:
1993年09月-2000年12月研究活動内容
前者は臭素を持つエポキシドを銀イオンで活性化する方法で実現可能なことを見出し、シス縮環ではあるが2環性6員環エーテルの一挙構築に成功した。後者では、ランタノイド金属の配位を利用したendo-選択的エーテル環化法を開発し、この方法でトリエポキシアルコールを連続endo-環化させて、3環性トランス縮環6員環エーテルを一挙に構築できた。これはトランス縮環状ポリエーテルの生合成仮説を有機化学的に実現した世界最初の例である(2000年)。
研究態様:機関内共同研究
研究課題概要
トランス縮環状ポリエーテルは、ポリエポキシド前駆体が連続閉環して、高い効率性で生合成されると推定されている。従来、架橋型オキソニウムイオン中間体を経る連続環拡大反応がこの反応の本質とされて来たが、エポキシアルコールの連続endo-環化反応も想定し得る。そこで、これら2つの反応の有機化学的実現可能性について検討した。
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海藻毒ポリカバノシドAの全合成
科学研究費補助金
研究期間:
1993年09月-1998年12月研究活動内容
天然物の全相対配置は、立体化学の明確なモデル化合物を合成し、天然物とNMRデータを比較して解明した。また、13員環ラクトン部分の効率合成とクロスカップリング反応によるトリエン側鎖の構築を機軸として、世界最初の全合成を達成した(1998年)。この合成品と天然物の旋光性の一致により絶対配置が確定した。更に、類縁体を合成してマウス致死活性を評価した結果、アグリコン部が活性中心であり、その側鎖の構造が活性強度に大きく関わることを見出した。
研究態様:機関内共同研究
研究課題概要
紅藻起源のポリカバノシドAは、致死毒性を示す13員環マクロリド配糖体であり、その構造情報は平面構造と部分的な相対配置に限られていた。そこで、絶対配置と活性寄与構造の解明を目指して全合成研究を展開した。