科研費(文科省・学振)獲得実績 - 宮本 律子
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東アフリカろう者コミュニティの動態研究―祖型手話の記述を通してー
基盤研究(B)
研究期間: 2018年04月 - 継続中 代表者: 宮本 律子
本研究は,東アフリカ(ケニア,ウガンダ,タンザニア)をフィールドに,同地域内のろう者コミュニティにおける手話言語の接触現象に注目する。そして,東アフリカ手話に共通する祖語手話と呼べるような祖型があるのかを探り,それにより,ろう者たちの教育や経済活動などの移動および接触というコミュニティのダイナミズムを通時的および共時的に明らかにしていくことである。本年度は、(1) ケニア・ウガンダ・タンザニア手話の個別言語学的記述(2) どの程度,東アフリカ地域の手話が相互に似ており,また異なっているのかの比較研究(対照言語学的記述)の活動を実施した。具体的には、ウガンダ手話とタンザニア手話の調査研究に注力し,文献による先行研究の収集と分析と各言語のデータ収集を行った。
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手話間の言語接触に見られるネイティビティの保持と変容の研究
基盤研究(B)
研究期間: 2011年04月 - 2016年03月
本研究の目的は,フィリピンとその周辺およびケニアとその周辺をフィールドに,ろう者コミュニティにおける言語接触現象に注目し,手話言語同士の接触で何が起こっているかを記述することである。さらに,それが従来の社会言語学研究のフレームワークにどのように寄与できるかを探求することである。
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アフリカ女性の社会進出のための伝統の取捨選択に関する研究
基盤研究(B)
研究期間: 2006年04月 - 2010年03月
本研究ではケニアにおける開発と伝統文化の関係を、女性の社会進出にターゲットを絞って考えていく。伝統文化の中のジェンダー格差を当事者である女性たちがどのように排除しようとしているのか、その取捨選択のメカニズムを明らかにするのが第一の目的である。また、農村部における開発プロジェクトの中で、民族語だけを話す女性たちがどのような地位におかれているのかを調査し、社会開発と言語選択の問題をジェンダーの視点から明らかにすることが、2つめの目的である。
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現代アフリカ女性の開発プログラム参加と言語選択に関する学際的研究
基盤研究(A)
研究期間: 2000年04月 - 2004年03月 代表者: 宮本 律子
社会言語学的アプローチを通して,本研究では,アフリカ地域(ケニア,タンザニア,ウガンダ,ジンバブエ,南アフリカ)における,(1)開発プログラム(特に識字教育)にみる女性の社会参加実態,(2)開発政策と言語政策との関係,(3)識字教育と民族語使用との関係,(4)社会参加からみた女性の言語選択の実態,(5)識字教育と民族語・民族文化保持の関係を明らかにするべく平成12年度~14年度に海外調査を行い,15年度は報告書をまとめ,平成16年度に出版した。
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北部中央バントゥ諸語の記述・比較研究
基盤研究(A)
研究期間: 1999年04月 - 2002年03月 代表者: 加賀谷 良平
タンザニア、ケニア、ウガンダのバントゥ諸語の内、ほぼ30言語を調査した。この言語数は予定数をやや上回っている。具体的な調査内容について言えば、各言語において,ほぼ2000語におよぶ語彙,音声,音韻,文法等の全般的かつ精密な調査と分析を行った。
この3年間の調査自体はほぼ満足すべきものであり,バントゥ諸語の音調研究を中心とした研究から新たな一般言語学的知見が得られ、また、言語変容、消滅の危機に瀕した諸言語の記述研究をとおして、我々の調査隊の成果は世界的に貢献できたと考える。しかし、未だに消滅の危機に瀕しているバントゥ諸語は多数存在し,現在を除いてはその記述・記録が不可能となること,また急激な社会変化により、多くの言語が歴史上かつて見られなかったほどの早さで変化していることなどを考えると,アフリカ諸言語の調査分析から得られる成果は極めて大であり,引き続き精力的かつこれまで増した大規模な調査が必要である。 -
アフリカにおける手話の認知言語学的研究
萌芽研究
研究期間: 2004年04月 - 2007年03月
本研究では,東西アフリカにおける手話の形成史を含む社会言語学的な側面を明らかにしつつ,共時言語学的特徴を記述する研究の予備的調査をおこなった。現在,成果報告書を準備しているところである。
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大学におけるコミュニケーション教育の総合的研究
基盤研究(C)
研究期間: 2000年04月 - 2004年03月 代表者: 足立 祐子
本研究は、大学におけるコミュニケーション教育を、学部の1年生を対象として、多様化が進む近い将来に備え、柔軟な考えや行動様式に発展させることをめざす実践的かつ総合的な教育と捉え,多文化共生教育などを幅広い分野を視野に入れた教育実践の研究である。
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多文化クラスの大学間および地域相互交流プロジェクトの実施と評価に関する研究
基盤研究(C)
研究期間: 1997年04月 - 2000年04月 代表者: 土屋 千尋
「多文化クラス」とは、我々が定義した用語であり、様々な文化背景をもった学生が参加し、異文化理解についてまなぶクラスのことをいう、多文化クラスの出発点は、留学生対象の日本事情クラスを異文化理解の場としてとらえ、日本人学生をうけいれたことにある。そして、近年の大学入試選抜の多様化にともない、帰国子女・中国帰国者子弟・社会人枠入学者など、留学生対日本人学生という枠ではとらえきらない多様な学生がクラスに登場するようになり、さらに発展してきたものである。多文化クラスは、学生の多様性をプラス面としてとらえる。我々は、1.各大学で実施している多文化クラス 2.多文化クラスの大学間相互交流、について研究をおこなった。
1.多文化クラスの授業展開
様々な形態の討論や共同作業による作品づくりをおこない、体験プロセスを重視
その学習の特徴は、体験学習型←知識授与型、多方向的←一方方向、主体的←受動的である。なお、共同作業において、学生は、作業前、共同作業で大切なこととして抽象的な項目をあげていたのが、作業後は共同作業で具体的に必要とされる能力をあげるというように意識変化がみられた。意識変化をもたらしたものは、学生が作業前の予測とはちがったあたらしい体験をしたことのあるとかんがえられる。
2.大学間相互交流の実施
・共同作業による作品を多大学間で交換し評価
・SOSによる交流授業
・合同合宿
合同合宿に参加した学生達は合宿後、交流に対する不安がへり、自身がたかまったという結果がえられた。また、これらの多大学とのプロジェクトはコミュニケーション教育の場であることが確認できた。
地域との交流プロジェクトとしては、新潟大学の多文化クラスの学生が交流の足がかりをつくった。
上記の多文化クラスを運営していく教師は、学生と同様、多文化クラスにまなぶ学習者であり、また、プロジェクトを実施するための企画や実務能力がもとめられる。 -
西アフリカ,英・仏語圏における言語政策による文化変容に関する民族学的研究
国際学術研究
研究期間: 1991年04月 - 1993年03月 代表者: 江口 一久
現地調査で収集した文献資料,写真資料,フィールドノート,録音資料などの整理と分折に関する作業をすすめてきた。フィールドノートの大部分は,コンピュータに入力し,計量は分折にたえる資料として蓄積した。また,本研究に必要な,既発表の論文,書籍などを収集し,それを参考にしながら,論文を執筆した。 宮本は,ナイジェリア・ソコト地方のイギリスの関接統治と,フルベ族の言語生活に焦点をあて,資料の分折をすすめてきた。フィリップスは,ナイジェリアにおけるハウサ語の生成の関する歴史資料を整理し,今日の正書法の成立ならびに,ハウサ語文献の出版状況の研究をすすめた。
嶋田は,マリ国におけるフランス語と国語の文字化との関係に関する資料を整理した。
江口は,各調査者の研究の調整および,カメルーンとトーゴにおける過去のフランス語による文化政策が,今西の言語生活に,どのように影響したかを中心に資料の整理をおこなった。